作品名: 縛り首の木 - |
“TVで放映した時のお馴染み黒沢良さんの吹き替えの方がよかった、 と云ったら皆さんに叱られますかね。” いいえ、ウェイン命様、同感です。 私も、初見(深夜TVで字幕)、二回目(2時間枠の吹き替え)の順番でこの作品を 見ましたが、その通りだと思います。 今のところ、この作品はVHSビデオでしか発売されたことがないようですが、 もし、DVDで発売される時は、吹き替え版(当然、TV放送時の)も収録してほしいです。 この作品は、ラストシーンが「一枚の絵」のように美しく、バックに流れたマーティ・ロビンスの歌も快かったです。 ちなみに、当時コロムビアから発売されたEPレコード(LL−150)に載った訳詞では、 このようになっています。 「本当に生きるには、死にかけなければならないさ そして僕の場合は偶然にそんな具合になったまで、 彼等は金を取上げて、僕を自由にしてくれた、 そして縛首をまぬかれた、僕は首を吊る木から歩み去った そして大事な恋人も僕と一緒につれだって。 この時に僕がはっきり知ったのさ、 その木こそ生命の木、僕の新しい生命さ その木こそ希望の木、僕の新な希望だと その木こそ愛の木、僕の新しい愛なのを、 あのハンギングツリー」 まさに直訳!という感じで、妙な訳詞です。 マリア・シェルが、治療後に初めて崖の上で目を開けるシーン、 亡くなった父親のお墓に花を手向けるシーンが、印象に残っています。[2008年5月1日 21時8分39秒]
本当にINDEXにないか何回も確認しましたので恐らくダブりはないと思います。D・デイビス監督、 クーパー最後の西部劇ですよね。M・シェル、K・マルデン、J・C・スコット等が出てました。 物語は、クーパーがゴールドラッシュに沸く町にやって来て医者を開業したことから始まります。貧 しい人からは治療費も取らないかと思えば、夜はポーカーで人の採掘権まで巻き上げると云う、よく 分からない人物です。負けた賭博師(J・ディーケス、「アラモ」で盲目の妻との別れで泣かせてく れたジョッコです。「放浪者」さんのお陰で分かりました)に、「その大金で家を買ってまた燃やす のか」と云われて殴り倒したことから、自分の妻と不倫の果てに心中した弟の遺体を屋敷ごと焼いた (らしい?)と云う辛い過去を背負っていることが分かりますが、分からないのは、この過去が以降 のストーリー展開に特に関係ない(…と私には思えるのですが)と云うことです。敢えて云うとすれ ば、強盗に両親を殺され遭難したところをクーパーに救われたスイス人移民M・シェルが、自分を愛 してくれていると知りながら受け入れられない原因が、その事件以来の女性不信、所謂トラウマかな と思われるくらいでしょうか。 クーパー、シェル、マルデンが共同で採掘権を取得した土地が大当たりしたことから事態は急変。金 ばかりかシェルまでも我がものにしようとしたマルデンをクーパーが射殺(ここでクーパーは、彼を 繰り返し何度も撃ったうえ崖から蹴り落として殺すと云う異常さを見せるんですが、なんでそんなこ とをするのかこれまたよく分かりません)したことから、予て商売仇としてクーパーを憎んでいたイ ンチキカルト医師(J・C・スコット)に扇動された町の人達は、彼を町外れにある「縛り首の木」 でリンチにしようとしますが、駆けつけたシェルは取れた金も採掘権もすべてを放り出してクーパー を救います。 さて、いよいよラスト。人々が去っても、なお自分に声も掛けてくれないクーパーにガッカリした表 情で引き返そうとするシェル、そのとき意を決したようなクーパーの声が響きます。 「エリザベス!」 背景は一面薄紫に染まった夕暮れの空、寄り添う二人と「縛り首の木」のシルエットが素晴らしく美 しい。そこに私の大のごひいき「声に涙のひとしずくを持つ男」マーティー・ロビンスの歌う主題歌 がかぶります。 「そして愛する人が私と共に歩む 私にとってあの縛り首の木は新たな生命と新たな人生の木 真の希望と愛の象徴、それが縛り首の木」 なんだか変な詩ですが、映画を見ながら聞いてると特に違和感はありません。 ちょっと奥歯にものが挟まったようなところもありますが、西部劇ですからまあいいでしょう。カメ ラはきれいだし、何よりもガンを押してのクーパーのラストウエスタンですから。この頃はもう馬に 乗るのも辛かったに違いありません。 でも、あの「エリザベス!」は、ストーリーの展開上、いろんな思いを込めた大変重要な難しい一声 だったと思いますが、正直云ってTVで放映した時のお馴染み黒沢良さんの吹き替えの方がよかっ た、と云ったら皆さんに叱られますかね。私はそっちを先に見ていたので妙なことになっちゃいまし た。 クーパーは、この後、M・アンダーソンの「六年目の疑惑」を最後に永眠しましたね。遺言に「私の 遺骸は松の木の棺に入れて欲しい」とあったのを昨日のことのように思い出します。[2006年5月28日 11時10分19秒]