作品名: 命知らずの男 -


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お名前: クインキャノン   
 邦題がいい加減で内容の見当がつかないから、威勢がいいだけの西部活劇だろうと思って気にとめず、劇場
じゃ見なかったけど、「テキサス決死隊」とセットのDVDなんで最近見たら、なかなかきちんとした作品だったよ。

 南北戦争中の南軍ゲリラ、というより凶悪強盗団として悪名高いクワントリル大佐のゲリラ団が題材で、
カンザス州ローレンスの町の襲撃と虐殺も描かれてるね。クワントリルを北軍と戦う英雄と信じてギャング
団に加わる5人の若者が、フランクとジェイムズのジェシー兄弟、ヤンガー兄弟それにキット・ダルトンで、
演じるのはオーディ・マーフィがジェシー・ジェイムズ、他にもジョン・ベスト、トニー・カーティスなん
かの若手陣だよ。

 この写真を見て始めて知ったんだけど、カンザスにゃレッド・レッグズ(Red-legs)て一団もあったんだ
ね。名前の通り赤っぽい脚絆だかゲートルだかがいわば制服だよ(ゲートルなんて言葉知ってる人は手を挙
げて!)。ゲリラに対抗する北軍寄りの自警団みたいなものらしくって、お話の始めの方で、若者5人はこ
の赤脚隊に捕まってゲリラのスパイと疑われ、縛り首にされそうになるけど、駐屯の北軍に救われる。赤脚
隊の宿舎の農家をクワントリル・ゲリラが急襲して赤脚隊を皆殺しにする場面もあり、南北戦争ってのは正
規軍同士の戦いの陰にいろいろ複雑な局面があったんだね。

 クワントリルはもちろん悪党だけれど、南軍のために戦っているつもりの夢想家でもあって、「カンサス
騎兵隊」に描かれた急進的奴隷解放論者のジョン・ブラウンなんかに似てるのかも知れないね。だから若者
たちは、殺戮と略奪に疑問を感じながらも従う傾向があるんで、形勢不利になって他の子分たちが去っても、
最後までクワントリルの周りにいるのは彼ら5人だけだよ。クワントリルの情婦で、ジェシーに母性的愛情
を抱くのが「西部の裁き」なんかのマーゲリット・チャプマンだよ。

 クワントリル役のブライアン・ドンレヴィは、40年代、50年代の西部劇には大抵出てたような気がす
るけど、役柄は例外なく悪党か、でなきゃ「インディアン渓谷」みたいなダメ男で、後のリー・ヴァン・ク
リーフ氏なんかと同じように、エンド・マークまで生きてたことがないよ。だけどあっしの知る限り、この
映画の彼は、いつもろくな死に方をしない中じゃ一番かっこいい最後だね。カリスマ性や若者に向ける父性
といった面もそこはかとなく漂ってて、なかなか印象的だよ。1950年のレイ・エンライト監督作品だけ
ど、40年近く後の「ヤングガン」を先取りしてる感じだね。
[2008年3月29日 20時49分51秒]

お名前: 老レンジャー   
 ほぼ西部劇専門俳優オーディ・マーフィの代表作はデビュー作の「テキサスから来
た男」か「命知らずの男」ではないか。
 彼の西部劇作品は10作品程見ているが殆ど憶えていない。このBBCに何か書ける
記憶があるのはこの2本位です。前者がビリイ・ザ・キッドで本作品がジェシー・ジェ
ームズに扮していますが、この2作品がスティーブン・ハンターが「最も危険な場所」
で『天使にそっくりな小柄な男』『ぎょっとするほどの美貌』と書いた容貌が生きた
作品だったからだろう。しかしその後はその童顔がマイナスに作用したと思われる。
 南北戦争で両親を殺され農場を焼かれたジェームズ兄弟がヤンガー兄弟、キット・
ダルトンと北軍と闘うために南軍ゲリラ、カントリル部隊に参加する。しかしカント
リルは戦争でなく、民間人を襲い略奪しているだけだった。この頃の西部劇の主人公
は正しい人でなければなりません。ジェシーは時代と環境によって間違った人間を選
んでしまったのです。後作「シマロン・キッド」も「本人は悪くない」と同様のパタ
ーンでした。
 アクション−−両者ネッカチーフの両端を咥えたナイフの決闘。口から外しても負
けになり、距離と動きが限られるスリリングな決闘でした。
 残酷――決闘に勝ったマーフィはナイフを持っていない相手の腹に思いきりナイフ
を突き刺す。カントリルゲリラは無抵抗の農民達を撃ち殺す。血は飛び散らないがや
っている事は結構残酷でした。
 共演――戦争ごっこに酔いしれるカントリルにブライアン・ドンレヴィ。1957年公
開だが1950年製作故、キット・ダルトンにトニー・カーティス、フランク・ジェーム
ズにジョン・ロング(後にTV「バークレー牧場」)、リチャード・イーガン(「や
さしく愛して」)がチョイ役等皆んな若い。
[2003年7月6日 11時37分58秒]

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