ジョセフ・コットン主演、セルジオ・コルブッチ監督のマカロニ。'66〜67年の作品か。
多作を極めるコルブッチ作品にしては出色。
南軍兵だったコットンは、終戦後も新連邦政府樹立の資金を得るため、3人の息子と
ともに、北軍の現金輸送隊を襲撃。まんまと成功し、金を棺に詰め、雇った未亡人役の
泣き女とともに南へ下る。その間に出会う艱難辛苦を描いたロード・ムービー。
コルブッチは、戦争に敗れてなお南部の理想に燃えるコットンを好人物として描かず、
目的のためならあらゆる手段を正当化する、偏執的で残酷な人物として際立たせる。
息子たちも同じ。すきあらば大金を自分のものにしようとしたり、父に逆らえずそれを
止めきれないでいたりする、未熟でおろかな若者たち。果たして目標行動は挫折する。
このジョン・ヒューストン的テーマを、コルブッチは、一切の無駄を省いたストーリー
テリングで展開、いきなり始まってグイグイ進むさまは、ジョン・スタージェスのよう
(インディアンも出てくるし)。しかしそこに西部の叙情がほとんど漂わないのは、
マカロニのなせる業。
ちょっと勘のいい人ならすぐに見破ってしまう話の落ちやひねりも、コルブッチの演出と、
ジョセフ・コットンの好演(この人はなかなか名優だと思う)で十分以上に補われ、大人の
鑑賞に堪える魅力的な小品に仕上がっている。
日本劇場未公開、テレビ放映のみだったが、最近「スレッジ」などとともにDVDボックス化
されて見やすくなった。ただし、「スレッジ」以外はPALマスターのため4%早回しにされ、
この作品もオリジナルの91分に対して88分になってしまっている。残念!(でもおまけの
予告編はアメリカ向けのためかオリジナルスピード。どうせなら逆にしてくれ…)
[2005年8月14日 21時40分1秒]