作品名: エルダー兄弟 - |
高校の期末試験が終わった日、同じ映キチの友人と2人で見ました。D・マーチンらとの掛け合いが 楽しくて、おなかの底から笑いましたね。(余談ですが、その時の友人は今、監督になってて主にT V時代劇で活躍してます。代表作に田村正和の「眠狂四郎」などがあります) さて、この「エルダー兄弟」は、ウェインが肺がんから奇跡の生還を果たした後の第1作でしたね。 弟3人と家の壁をぶち破って大ゲンカをしたり、橋の上の馬車から川に飛び込んだり、見ているこち らがハラハラするほど、派手なアクションを披露してファンを安心させてくれました。 でも、この頃からのウェインの映画ってどうも悪役が弱いですよね。J・グレゴリーでしょ。絶えず 特別仕様のライフルの試射なぞしているので、一応の脅威にはなりますが、貫禄負けは否めません。 J・ケネディが凄んで見せますが、どうも彼は冷酷非情な悪人にはなリ切れないところがあって、こ の映画とか、ずっと後になりますが同じウェインの「ビッグケーヒル」等いただけません。私は、 「バンドレロ」の、惚れた弱みでウェルチの前でオタオタするだけの誠実な保安官の彼が一番好きで すネ。 考えて見ると、悪役不足は何もウェインの映画に限ったことではないのかも知れません。この頃にな ると、ウィドマーク、パランス、マービンなどが皆改心してしまって、すっかり善人になっちゃいま したからね。 社会全体が物事の白黒と云うか、善悪の判断だけでは割り切れないような風潮になってきたことも原 因の1つかも知れません。とは云っても、ウェインの健在振りをこの目で確認出来ただけでこの映画 の価値はあったと云うものだし、出来だって別に悪くない、ハサウェイとしては水準作で十分楽しめ ましたしね、余り贅沢は云わないでおきましょう。[2006年6月20日 11時15分38秒]
ヘンリー・ハサウェイの演出は、力強くゆるぎないが、構成の大胆さに欠け、 羅列的でメリハリに乏しく、時として退屈だ。でもそのようなスタイルは、 ロードムービーで功を奏することがあり、その意味で「悪の花園」、「ネバダ・スミス」、 「勇気ある追跡」などは上出来だと思う。 「エルダー兄弟」はロードムービーではないが、まあうまくいっているほうだろう。 ケイティが、その亡夫とともに一度も画面に登場しないことや、多くの夜のシーン、 陰影に富んだ奥行きのあるショットなど、いくつかの印象に残る場面が(ぜひ正しい 画面サイズでご覧いただきたい)、この作品をぎりぎりのところで「大味な大作」に させていない。空のロッキングチェアが揺れるラストカットもよい。 ジョン・ウェインは、「コマンチェロ」あたりで味をしめた王道路線を歩んでいるが、 マクラグレン監督作品でしばしば見られるようなワガモノ顔振りは、あまりない。 このあたりも、御大ハサウェイの功であろうか。[2005年4月27日 12時27分25秒]
J.W.さん、お久し振りです! 私はまだ、DVDは観ていませんが、近日中に何とか観たいと思っています。 この映画が公開された時、「リオ・ブラボー」以来、久し振りのデュークと ディーン・マーチンの共演ということで、わくわくしながら観に行った事を 憶えています。 デュークとディノが兄弟だとはとても思えませんが、そんなことはどうでも よく、リオ・ブラボー系の西部劇の系譜を見事に踏まえ、何度も観たことの あるようなシーンの連続なのですが、ちっとも飽きることもなく、その雰囲 気に浸ったものです。[2002年6月5日 17時17分11秒]
1965年,ヘンリー・ハサウェイ監督,ジョン・ウェイン主演のパラマウント西部劇。 思いがけずDVDがこの度発売され,観直した。 原題の「ケイティ・エルダーの息子達」からも分かるように,風来坊の息子4人が,母親の葬式に出るため、 故郷の町に集まるところから物語はスタートする。 冒頭,その町の駅で3人がウェイン(長兄)を待っている.次男のディーン・マーチンが汽車が止まる地点で賭けをしないかといって兄弟にあきれられる。次に当然ウェインが登場するのだろうと思わせておいて、 汽車から降り立ったのは,怪しげなジョージ・ケネディ。スタートは快調ですね。駅のシーンから始まる 西部劇って多いですけど。 4人が集まって,父親を殺して母の牧場を騙し取った悪人を探し出し,復讐を遂げるといった展開ですが、 エルマー・バーンスタインの音楽の下,なかなか当時としてはしっかりした作りの西部劇です。 確かウェインは最初のガン発病後の作品ではないでしょうか。それにしては、元気なところを見せ,彼には珍しく,拳銃の早撃ちや二挺拳銃で連発する場面があります。ディーン・マーチンも彼の個性が上手く出て います。ただし、他の兄弟(アール・ホリマン,マイケル・アンダーソンJr)の影が薄いなー。悪役も あまり強い感じがしない点、物足りない.そしてデニス・ホッパーがまたしても情けない息子役で出てきます。 この映画で一番印象的な人物は,画面には全く現れないケイティなんですが、(このことから西部劇版サイコという人もいるほど),彼女の言葉を代弁するマーサ・ハイヤーも好演ですね。彼女がケィテイの遺品であるゆり椅子の脇を通り過ぎると,スカートが椅子に触れて,椅子が何かを語るかのように揺れるというのが ラストシーンで、余韻のある終わり方でした。[2002年6月4日 13時27分24秒]