「荒野の用心棒」欄でTHE UGLYさんが知りたいとおっしゃってましたので、まだ書き込みがないこと
を知りました。1964年、マーティン・リット監督作品です。従って、かなりまじめにリメイクされて
います、と云うより良くも悪くも「羅生門の西部劇版」となっています。オリジナルタイトルも
「THE OUTRAGE」ですから「暴行」ですネ。配役もニューマン(三船)の他にローレンス・ハーベイ
(森雅之)、クレア・トレバー(京マチコ)、金鉱掘りハワード・ダ・シルバー(志村喬)、詐欺師
エドワード・G・ロビンソン(上田吉次郎)、神父ウイリアム・シャトナー(千秋実)と、かなり
豪華。巫女はインディアンの祈祷師に置き換えられています。
「羅生門」を正確になぞっていると云う感じで、リットの作品としては出来栄えはイマイチではない
でしょうか。西部劇として面白いかと聞かれるとちょっと困ります。そして、ここでもまた「荒野の
七人」と同じく西部劇に置き換えることの「基本的な無理」が見られます。「羅生門」ではラストで
人間に絶望した3人が、捨てられた赤ん坊を見つけ微かながら希望を見出すことが出来、志村喬が連
れ帰るわけですが、これは当時死体の捨て場となっていた羅生門だからこ新しい命の象徴である赤ん
坊を見つけた意味があるんですね。「暴行」では羅生門が鉄道駅になってますが、鉄道駅に赤ん坊が
捨てられてても、そのこと自体にはあまり意味はないんですから。リットだから「羅生門」なんでし
ょうけど、考えてみると西部劇にはなりにくい1本だったかな〜と云う感じです。マ、また1本我が
黒澤の作品が西部劇になったと云う誇らしい気持ちはありましたが…。最後に、西部劇ではありませ
んが、スターウォーズが「隠し砦の三悪人」のリメイクであることはよく知られてますヨネ。
[2006年4月9日 0時1分52秒]