こんな西部劇があったなんて、もう誰も知らないだろうね。だけどあったんだよ。あっしゃ見たんだか
ら。１９４７年のユニヴァーサル映画でシネカラー。あん頃はシネカラーの写真が沢山あったよね。
「西部の裁き」、「熱風の町」、「死闘の銀山」、「決闘カリブ街道」、「平原の勇者」．．．。

Ｊ・フォード監督の「ハリケーン」に主演したジョン・ホールと、マーガレット・リンゼイて女優さん
が主役で、筋は全部忘れちまったけど、ホールがジャック・ランバートと殴り合ったりしてたよ。
ラスト・シーンじゃ、カンバスをトランポリンみたいにぴんと枠に張った救助用の道具を、ホールや町
民が燃えている建物の窓の下で握りしめてて、二階の窓のリンゼイに飛び降りろっていうんだけど、
リンゼイがホールに向かって「アイ・ラブ・ユー」って言ってくれなきゃ飛び降りないって駄々をこね
てたね。

４０年ばかり前の映画で、大アマゾンンの半魚人みたいなのが海辺に現れて、サーファーの若者を何人
も殺すのを見たけど、博士を演ってるのがやはりＪ・ホールって人で、この人はすでに初老だったから、
あのＪ・ホールなのかどうかあっしにゃ分からなかった。だけど資料を見たらやはり「ハリケーン」
のホールだったね。

半魚人の写真はホラーみたいで、青春物みたいで、家族ドラマみたいで、大した出来じゃなかったけど、
Ｊ・ホールが監督もやってんだよ。ホールは「ハリケーン」以後はどうってことのない活劇みたいなの
にばかり出てたようだけど、自分で映画を作ろうって志を持ってたんだね。エド・ウッドみたいなとこ
があったのかも知れないね。

[2005年9月12日 11時44分35秒]