「挑戦」を見て、ジョージ・オブライエンの明るく屈託のないところが気に入り、他にも何か見たく
なって、この '３８年作を見ました。天国のご当人が、「今頃になってファンが一人増えてもねえ」と
苦笑いしているでしょうね。彼は戦争中に海軍に従軍し、軍功を挙げて勲章まで貰ったそうですが、俳
優生活はそれで中断されて終わりを迎えたのでしょう。「アパッチ砦」や「黄色いリボン」などは顔見せ
でしかなかったと思います。

　主人公はテキサス警備隊員。メキシコ人ギャング団の女頭目ユーディス・アルバレスの捕縛を命じら
れます。ユーディスを演じるのが芳紀十九才のリタ・ヘイワース。彼女が西部劇で馬を走らせ、六連発
をぶっ放すのは他に見た覚えがありませんが、ガンベルト姿も魅力的でした。ヒロインが悪玉では困り
ますが、本当の悪党は、人々に重税を課しては土地を取り上げている町の悪徳ボスのサンダーソンで、
メキシコ人グループも、ギャング団というよりはボスに対抗するための自警団のようなものです。

　オブライエンの弟分の若いレンジャーがティム・ホルトですが、この男はしょっちゅう酒場で喧嘩騒
ぎを起こすので、映画の始めで警備隊を首になり、メキシコ人の恋人がいる前記のグループに身を寄せ
ています。脇役のレンジャー仲間には他にレイ・ホイットリーという人がいて、この人は西部歌謡の有
名な作曲者でもあるんだそうで、この映画でも酒場でレンジャーに囲まれて、ギターを弾きながら自作
のヨーデルを聞かせます。

　結局、悪党は倒され、メキシコ人グループは州知事から赦免されて、主人公はユーディスと結ばれ、
首になっていたホルトも復職を許され恋人と結ばれて、めでたしめでたしです。気軽に見られる１時間
ほどの映画で、似たような作品はほかにいくらでもあるでしょうが、昔、テレビもインターネットもな
かった頃、人々がこういうものを週末に二本立てででも見て楽しんだであろうことが分かる気がします。

[2006年6月24日 21時25分29秒]