作品名: 叛逆の用心棒 -


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スコット・ブラウン・プロによる'53年コロムビア作品。アンドレ・ド・トス監督、
日本劇場未公開。原題は"The Stranger Wore a Gun"。最近ソニー・ピクチャーズ
から出たDVD(ボックスセット中の一枚)で初めて見た。

忠実な南軍中尉だったトラビス(ランドルフ・スコット)は、軍への忠誠心から
クアントリル・ゲリラのスパイとなるが、彼らの残虐非道ぶりを見せつけられ
るにつけ、わが身を恥じて縁を切り、賭博師に身をやつす。しかし、敗戦後に
スパイ行為の謗りを受けると、女賭博師(クレア・トレバー)の口利きで、元南
軍兵士を頼ってとある町へと身を隠す。しかし、その町で彼を待ち受けていた
のは、戦争が終わったにもかかわらず北軍から金塊を強奪しようとする元南軍
兵士たちと、それを横取りせんとするメキシコ人ギャングの抗争だった…

この映画が光っているのは、「荒野の用心棒」('64)いやひいては「用心棒」('61)
を先取りしているところだ。つまり二つの集団の争いに巻き込まれたスコットは、
当初は元南軍兵士たちに加担するものの、住民たちを犠牲にしながらエスカレート
してゆく抗争に嫌気がさし、両方ともを一掃する計略をめぐらすのである。
まあこの映画にしたところで、ダシール・ハメットの小説「血の収穫」に依拠して
いることにかわりはないが、少なくとも「映画化」ということに関しては、パクられ
たといって、レオーネに文句たらたらだった「用心棒」より8年も早い。スコット・
ブラウン・プロの創意工夫の非凡さがここにも現れている。

アンドレ・ド・トスの演出はストック・ショットを多用しながらも、クライマックス
の銃撃と火災のシーンなどかなり迫力があり、色彩感覚にも独特なものがある。
カメラに向かって、銃が撃たれたり物が投げられたりするシーンが多いから、この
映画はおそらく3D映画として製作されたと思われる。ド・トスはラオール・ウォルシュ
同様単眼だったというのに…

他の出演は、リー・マービン、アーネスト・ボーグナイン、ジョーン・ウェルドンなど。
DVDは日本では今のところボックスのみで単品売りはないが、アメリカ版では単品が
あり、リージョンALLで日本語字幕つきである。いまやソニー・ピクチャーズがつかさ
どっているコロムビア・トライスターの旧作にはこうしたものが多い(スコット西部劇
では他に「ネバダ決死隊」、「捨身の一撃」、「十人のならず者」などがそうだ)から、ネット
などで探してみる価値はあろう。
[2005年9月18日 19時43分3秒]

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