もう少し分かったことがあるので紹介させてください。まず原題。ズバリ「SITTING BULL」です。登
場したばかりのシネマスコープの大画面を使って、シッティング・ブルと云う「智・勇・仁」を兼ね
備えた大酋長の全貌を伝えようとした意欲作と云うことで、地味なキャスティングにも拘らずアメリ
カでは結構有名な映画らしいんです。監督・脚本、シドニイ・サルコウ(どなたかご存知の方いらっ
しゃいますか?)’54年の製作で、タイトルロールを演じたJ・キャロル・ネイシュは「アニーよ
銃をとれ」(見てないんです)で既に同じブルを演って絶賛されてたと云うことです。
撮影は五百人のメキシコインディアンのエキストラ出演を得て実際にリトルビッグホーンがあったノ
ースダコタのブラックヒルで行われたそうです。ダコタでのプレミアでは、観客動員数で過去最高の
「真昼の決闘」「アフリカの女王」等の記録を打ち破ると云う凄い当たりを見せ、マスコミも最大級
の賛辞を惜しまなかったとあります。
日本では「ヘラルド映画創業第1回配給作品」だったと云うことですが、まったく注目されなかった
らしいです。「それを映画館で観てるんだから俺って凄い?」とひとりほくそ笑んだ次第です。確か
に今考えてみると、インディアンが当然のように残虐な野蛮人としてしか扱われていなかった時代に
シッティングブルが偉人として登場するんですから、異色と云うよリ画期的な作品と云っていいのか
も知れません。ただ、主演がD・ロバートソンでは注目されなかったのも無理はないですね。インデ
ィアンとの無用の殺し合いを拒否して2度も降格されると云う立派な騎兵将校役ですから、ロバート
ソンには悪いけど、むしろR・スコットの方がピッタリのような気がします。そしたらもう少し話題
になったかも知れません。結構イイ映画だっただけに残念です。
[2006年10月7日 23時49分19秒]