作品名: モヒカン族の最後(1936) -


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お名前: ポルカドット   
 原作を読んでませんが、アメリカの古典小説の映画化です。「北西への道」や「征服されざる人々」
と同時代で、普通の西部劇より百年以上前、場所もニューヨークからあまり離れてないからむしろ東部
劇で、私としては見るのに決心が要りますが、見始めれば引き込まれて楽しめますね。ジョージ・ザイ
ツ監督という人は大戦中までが活動期間だったらしく、私にはなじみがありません。

 ご存じランドルフ・スコットがスカウトのホークアイで、洗い熊の帽子に鹿皮服。英軍のダンカン・
ヘイワード少佐(ヘンリー・ウィルコクスン)が、ウィリアム・ヘンリー砦の司令官マンロー大佐の許
に、大佐の娘のアリス(ビニー・バーンズ)とコーラ(ヘザー・エンジェル)姉妹を送り届けるためエ
ドワード砦を出発しますが、少佐はアリスを愛しています。ガイドであるヒューロン族のマグアは実は
フランス側のスパイで、一行は危機に陥るけれど、ホークアイとその友達のチンガグーク、アンカス父
子に救われます。

 父子はモヒカン族の最後の生き残り戦士です。アンカスはコーラを一目見て恋心を抱き、互いに愛情
が生まれ、一方、アリスはホークアイに惹かれます。しかし、アンカスはマグアと戦って高い崖から落
ち、コーラも後を追って崖から身を投げます。死んで谷底に横たわるコーラに、瀕死のアンカスが這い
寄り、彼女の手を握って息絶える場面は後年の「死の谷」を思わせます。

 二人の死の直後、チンガグークは銃でモグアを狙うホークアイを制して、モグアと戦斧で決闘してこ
れを倒し、逆縁ながら息子の仇を討ちます。その夜、コーラの亡骸には石を積み、アンカスの亡骸は、
モヒカン族の風習なのか大きな木の枝に横たえ、少佐とチンガグークが鎮魂の言葉を述べる葬送の場面
には心を打たれます。われわれ西部劇ファンなんて今や最後のモヒカン族みたいなものだから、身につ
まされるのかも知れませんね。

 一方、アリスはヒューロン族に捕らわれて火あぶりの運命ですが、ヘイワード少佐が短銃でホークア
イを殴り倒して彼の衣服を身につけ、ヒューロン族の許に赴いて、自分が彼らの仇のホークアイだが、
アリスの身代わりになる、と申し出ます。しかし、そこへ意識の戻ったホークアイ本人も現れ、酋長は
本物を見分けるため、紐に吊されて揺れている水差しを、二人にそれぞれ長銃で撃たせると、ホークア
イの腕が僅かに勝り、少佐とアリスは解放されます。ホークアイは木に縛られて薪に火が付けられます
が、危うく英軍の救援が間に合います。アリスとヘイワード少佐とホークアイの微妙な関係のうちに、
少佐の部隊は新しい任務につき、ホークアイも同行して出発するところで映画は終わります。

 ブルース・キャボットのマグアを始め、「ハリウッド・インディアン」も大勢いましたね。前記の
「北西」や「征服」に見るように、この時代の英軍や仏軍の軍装は華やかで、カラー作品ならなおよかっ
たでしょうが、それにはまだ少し製作時期が早かったようです。そのうち、原作も読まなければ。
[2007年5月26日 22時14分34秒]

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