同じウェインの「拳銃無宿」のラストの決闘シーン(尤も、実際にはやらなかったわけですから正確
には「決闘になったはずのシーン」ですが)に肩透かしを喰らわされたのは私だけではないようです
が、「肩透かし」ではこの映画の決闘シーンも負けてませんね。確かに1対1の決闘ですよ。でも
「抜き射ち」ならぬ「抜き殴り」はないでしょう。無血主義はワイアット・アープに任せて、ここは
是非射ち合って欲しいところでした。それから、オイオイと思ったのが、ウェインが、彼を殺人犯に
でっち上げようとする罠に引っ掛かりそうになるシーンですよ。よそ者が銃を持っている前で人が殺
されていれば、一応観ている側とすれば一騒動期待しますよ。少なくとも西部劇の常識から云ってリ
ンチ騒ぎくらいにはなって当然なのに、「俺じゃない」の一言をああも簡単に信じる町の人って西部
にはいないと思いますけどね。ついでにもう1つ、E・レインズも、ホントの歳は知りませんがちょ
っと年増っぽい感じがして、当時の私には、ウェインがもう1人の上品なお嬢さんを袖にするほど魅
力的には見えませんでした。と云うのは、「エルドラド」でウェインの腰に1発お見舞いした若くて
美人のジャジャ馬娘がいましたね。どうしても比べてしまうんですよ。尤も、これらは、あくまで世
代的に西部劇をそれと認識して観始めたのが「アラモ」「荒野の七人」辺りからである私が、逆順で
この映画を観ての感想であって、戦後日本で公開された初の西部劇としてリアルタイムでご覧になっ
た方々が、若くて颯爽としたウェインから受けられたであろう新鮮な感動を冒涜するものでは決して
ありませんので、誤解なきよう。この映画のハイライトは何と云ってもウェインとW・ボンドのド派
手な殴り合いでしょう。凄かったですよネ。「スポイラース」の超有名なシーンと比べれば時間的に
は短くても、凄まじさと迫力では決して引けを取っていないと思いますよ。
[2007年12月30日 11時17分55秒]