作品名: 北西騎馬警官隊 -


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お名前: ウエイン命   
クーパーの二丁拳銃スタイルがカッコいいので何度かトライしましたが、余りのつまらなさにいつも
途中で見るのをやめてしまいます。私は「十戒」がデミルとの最初の出会いだったんですが、今思う
と「十戒」は奇跡的な作品でしたネ。
「平原児」はクーパーの史上最高の早射ちを見ると云う違った興味があるので時々見ますが、「地上
最大のショウ」「征服されざる人々」「北西騎馬警官隊」と何しろみんな超有名ですから期待に胸を
膨らませて見たんですけど、その都度「エ〜ッ」と云う感じでガックリ。なんで彼がこれほどもては
やされる存在なのか、正直云って分かりませんでした。なんだかんだ云っても稼いでると云うことか
なーとでも思うしか仕様がなかったんですが、その疑問が、「44−40」さんの理論的かつ明解な解説
でようやく解けました。今度、もう一度挑戦し是非最後まで見たいと思っています。
[2006年4月16日 15時41分6秒]

お名前: 44-40   
ノース・ウェスト・マウンテッド・ポリース。'40年製作ながら「総天然色」の
セシル・B・デミルのスペクタクル大作。デミル作品は、多くが「スペクタクル
大作」でありながら、クロス・アップやミドル・ショットが多く、引きの画に
乏しい平面的な画面構成で、登場人物がぞろぞろ多いのに、書割っぽさ抜群の
セットの中で、みんなでカメラに向かって並んでいる。セリフも順番にしゃべる
感じだ。ジョン・フォードなどとはまったく異なる演出スタイルは、ハリウッド・
ハリウッドした大味な大作の元祖として日本やヨーロッパではいまやあまり
好かれていない。

主演は殺人犯を追ってカナダまではるばるやってきたテキサス・レンジャー役の
ゲイリー・クーパー、ということになっているが、彼は話の本題には直接関係が
ない。本題はルイ・リエル率いるメティス達のカナダ政府(当時はイギリス領)に
対する反乱である。だから彼はむしろ狂言回しに近い。
40前後の一番いい時期で、かっこいいウェスタン・ファッションに身を包み、
ニッケル・プレイテッドのピース・メーカーの2挺拳銃も鮮やかに、颯爽とした
活躍を見せる。

そのクーパーを狂言回しにしたデミルのストーリーテリングは、「平原児」など彼の
他の多く作品同様、要点やクライマックスをはっきりおかない羅列的なもので、
人物描写にも深みがかけ(ると言われ)、結局何が言いたいのかあまりはっきり
しないが、それは個々のドラマを一つ一つ盛り上げながら、善悪・正邪に対する
態度をしばしば保留することで、なるべく多くを立てようという意図があるのかも
知れぬ(これはクーパーのロバート・プレストン、マデリーン・キャロル姉弟に
対する態度にも言える)。
その結果、叙情的な満足感には乏しくとも、「なんともいろんなことがありました」的
な叙事詩的満腹感は少なくとも得ることができる。これもフォードらとはまったく
違う種類の読後感だ。そのためか当時の映画としては結構長い(126分)のに、
思ったほど長さを感じない(少なくとも最近のコスナー演出などよりずっとましだ)。
思うにセルジオ・レオーネは、このデミル的なものとフォード的なものを融合
させようとした節がある。特に「ウェスタン」を見るとその感を強くする。

「平原児」よりもこっちのほうが好きなのは、カラー作品で、クーパーのファッションと
北西騎馬警官隊の真っ赤な制服が画面に映え、デミルの画面作りに花を添えていることと、
ポーレット・コダードの早とちりから彼女の恋人ロバート・プレストンが途中で死ぬ
という悲恋が含まれ、ヒーロー、クーパーも意中の女を得られずに、ただ逮捕した
殺人犯のみを連れ、テキサスへと孤独に去ってゆくという必ずしもハッピーではない
エンディングが、へそ曲がりな私の心を捉えたからかも知れぬ。
[2005年7月25日 15時7分4秒]

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