作品名: 大列車強盗 - |
'70年代のウェイン西部劇では、これと「ラスト・シューティスト」が一番好き。 「ラスト〜」はやっぱりかわいそうでちょいちょい見れないが、これは良い。 この年になってから「11人のカウボーイ」やこういう作品に主演できるとは、 ジョン・ウェインもなかなか懐が深い。このへんがハリウッドスターのさすがなところ。 バート・ケネディはオープニングから端的な台詞と緩急のついた演出を駆使して、 観客をストーリーに引きずりこむ。年老いたガンマン達の悩み、嘆きも、 軽いユーモアの中で煙に巻いて押し付けがましくない。練られたストーリーも 練られすぎの感がない。どこか理屈っぽい「プロフェッショナル」より心に触れる。 これはひとえにしゃれっ気あふれるケネディの巧みなストーリーテリングによるものだ。 「リリー?」、「ウィズ・トゥー・エルズ?」 そして最後にもう一度タイトルが 正当化されるエンディング。やはりオリジナルサイズの画面で楽しみたい。 ワーナーさん、早急なDVD化をぜひお願いします。[2004年2月26日 16時45分32秒]
1972年,ウェイン晩年の西部劇である。原題はThe Train Robbersだから確かに列車強盗なんだ が、1903年の西部劇第1作とされる列車大強盗(Great Train Robbery)があるのに、なんでこん な訳をしたのだろう。それはともかく、西部劇百年も間近な今、「大列車強盗」を取り上げてみよう。 汽車が重要な役割を果たしているのは確かだが、実はこの映画には列車強盗のシーンはない。スト ーリーは50万ドルの金塊という宝探しだ。亡くなった犯人の妻だけがその隠し場所を知っており,鉄 道会社から貰えるはずの5万ドルの賞金でウェインを雇って宝探しの旅に・・・・。当然,そこに20 人もの無法者たちが追いかけて来て,激しい銃撃戦が・・・。 西部劇の製作本数が激減し,ウェインも老いた時代のこの映画を観る楽しみは,色々あるが、ウェイ ン,ベン・ジョンソン,ロッド・テイラーの3人が南北戦争時からの仲間でキャンプの火の周りで,あ るいは戦いの合間ですら,昔話をしたり、若い仲間(エルドラドリオ・ロボのクリストファー・ジョー ジ好演)に頑固親父と反発されていたウェインが,馬を互いに助け合っていくうちに尊敬されるとか、未 亡人(アン・マーガレット)の前でロフェッショナル振りを発揮しようと神妙なウェインのおかしみ等、 印象に残る。 終わりに、男どもを代表してベン・ジョンソンが照れくさそうに未亡人に子供の教育資金に使ってと賞 金の権利を放棄する。周りの男どもの幸福そうな顔。このシーンも忘れがたい。 ウィリアム・H・クロシアの撮影は、いつものように快調で,嵐の中の雷光には「黄色いリボン」の有名な 行軍のシーンを思い出させるものがありましたし,他の映画でも見たような懐かしい風景が続きます。 ジョン・ウェインは相変わらずウィンチェスターを片手に軽々と構え,連射するのが決まっているが、無 法者の方はただ人形のような存在で、まあ娯楽作品なんだけど、バート・ケネディ監督らしく,最後にす ごい落ちがある。ヒント:戦いの合間にチラッチラッと姿を見せるリカルド・モンタルバンは一体何物 か。もちろんシャイアン族ではないですよ。 この落ちがあるために「大列車強盗」は傑作にならなかったという人もいますが、楽しめる作品です。[2001年1月27日 19時5分19秒]