作品名: Belle of the Yukon -


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お名前: クインキャノン   
 ランドルフ・スコットにジプシー・ローズ・リー、それにダイナ・ショアという珍妙な取り合わせの19
44年ミュージカル西部劇。スコットが歌ったり踊ったりはしねえから心配いらないよ。題名が表すように
アラスカもので、全体、アラスカものは西部劇なのかあっしにゃ疑問だけど、「スポイラース」や「アラス
カ魂」も西部劇扱いらしいし、19世紀末の合衆国の新開地が舞台なら、何でも西部劇なんだろうね。

 バーレスクのストリップで鳴らしたジプシー・ローズと、修身の先生みてえなスコットが組んでどうするっ
て思うけど、彼女もアラスカじゃ薄着はしねえし、スコットも「正直ジョン」って名乗って、ユーコン河沿
いのメイルミュートの町の大きな酒場の持ち主だけど、元は詐欺師なんだね。もっとも、スコットがローズ
に「我々の間は、つまりプラトニックなんだよ」なんていった時、「あなたがプラトニックなら、狼は菜食
主義者よ」っていわれてたよ。

 ダイナ・ショアは酒場の支配人の娘のレティー役で、酒場の歌手さ。同じ酒場のしがないピアノ弾きのス
ティーブ(ウィリアム・マーシャル)って若者と恋仲なのを父親は快く思わず、仲を裂こうってしてる。青
年を演るW・マーシャルはもちろん大根だけど、フランス女優のミシエル・モルガンやミシュリーヌ・プレー
ルと夫婦だったんだね。フランス映画界の臈たけた美女たちが、アメリカン・コミックから抜け出して来た
ような青年に惹かれるってのも面白いね。

 映画の始めでは、スコットが商用で不在の間に、題名のユーコンの美女ベルで人気女優のジプシー・ロー
ズが、正直ジョンの酒場に出演のため、一座を率いてリバーボートで町に到着する。戻ってきたスコットが
挨拶に彼女の部屋をノックすると、ドアの陰のベルがスコットの頭に花瓶を一発、ガン!とお見舞いする。
実は二人は以前から訳ありで、どこかの町で正直ジョンがベルをほっぽり出して姿をくらましたんで、ベル
はそれを恨んでたんだね。二人とも今では名前を変えてるんで、正直ジョンはベルに合うまでその正体を知
らなかったのさ。その後にも、スコットは失恋したレティーを抱いて慰めているのをベルに見られて、もう
一度花瓶を食らうよ。

 グイン・ビッグボーイ・ウィリアムズが町の悪徳保安官で、大した悪巧みする頭はねえけど、大詰めで一
念発起して、正直ジョンが開いた銀行が客から集めた砂金の袋を持ち逃げするよ。だけど正直ジョンが抜け
目なく、事前に砂を詰めた袋を金庫に入れ、本物は床下に隠してあったんで、ビッグボーイが奪ったのは砂
袋なんだね。でも、それやこれやで町民が心配して、取り付け騒ぎが起きそうになったとこへ、スティーブ
の父親が町に着き、まあ、お約束だけど、実は彼はユーコン河流域の実業界の大立物で、早速銀行に10万
ドル預金する。町民はそれを見て安心して騒ぎは収まる。父親がスティーブに「私の仕事を無理にお前に継
がせようとしたのは悪かった」っていって、スティーブとレティーは結ばれ、正直ジョンとベルも元の鞘に
収まってめでたしめでたしさ。

 この写真、ミュージカル場面は酒場の舞台の上だけで、舞台の外の物語も歌と踊りで進行する音楽劇とは
違うね。レティーがスティーブと二人だけの時に、スティーブのピアノで歌うぐらいはするけど。舞台の外
は胸に一物の詐欺師どもが絡み合うコメディだよ。

 見た後、大して何も残らねえけれど、内容を忘れた頃に見直しゃ、綺麗なテクニカラー画面と、ローズや
ダイナやダンサーたちの歌や踊り、スコットやビッグボーイやボブ・バーンズの右往左往をくつろいで楽し
めそうだね。
[2007年12月15日 21時40分46秒]

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