作品名: Decision at Sundown -


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お名前: クインキャノン   
 ランドルフ・スコットとバッド・ベティカー監督の第三作。テキサス男のバート・アリソン(スコッ
ト)が、戦友だったサム(ノア・ベアリー)と落ち合って、サンダウンの町に入り、顔役のキンブロー
(ジョン・キャロル)が金髪美人のルーシー(カレン・スチール)と教会で結婚式を上げてるとこへ現
れて、新婦に、「その男と結婚すれば、日暮れ前に後家になるぞ」っていうんで大騒ぎさ。題名は町の名
前と日没の両方をかけてんだね。

 キンブローは二、三年前に町に来て、ボスにのし上がった男で、そのお陰で潤ってる町民もいる。新
婦の父親もそうだし、保安官一味もボスの配下だよ。アリソンは、昔、妻のメリーがキンブローに誘惑
されて自殺したってんで、仇討ちに来たのさ。アリソンとサムはボス一味に追われて厩に立て籠もる。
膠着状態のうちに、メリーは実は身持ちのいい女じゃなかったって事情や、それじゃアリソンの執念は
仁義に適ってるのかって疑問も浮かんでくる。丸腰のサムが、保安官補の拳銃使いに背中を撃たれて死
ぬ痛恨事が起きるよ。

 町の医者は、町の現状を憂える良識人で、バーに集まってる人々に、彼らがキンブローのやり口を傍
観したのが町を腐敗させたって批判する。人々に漸く反省の機運が生まれ、アリソンとキンブローに尋
常の勝負をさせようって考えに傾く。アリソンと保安官の差し向かいの決闘があり、キンブローも覚悟
を決めてガンベルトをつけ、自分が持ち主のホテルを出る。アリソンも厩を出て両者は歩み寄って行く。

 後を詳しく書くのは差し控えるけど、キンブローは死にゃあしないよ。珍しい結末だけど、同年代の
「四十挺の拳銃」って写真に似てるっていう人がいるね。あっしゃ、こっちは未見なんで何ともいえね
え。機会があったら「四十挺」も見なきゃならないね。キンブローは馬車で町を出るけど、もう戻ること
はないんだろうよ。ずっと彼に惚れ込んでる愛人のルビーが寄り添ってて、きっと、ルビーにとっちゃ
むしろ嬉しいことなんだね。

 酒場じゃアリソンがウイスキーをあおってる。「あんたの行動で、我々は自尊心を取り戻せた」って
感謝されるけど、当人は「サムが死ぬ前に、町民が目覚めてくれりゃよかった」って愚痴って、酒瓶を
壁に投げつけて大荒れさ。日暮れ、アリソンは馬に乗り、今では主のいないサムの馬を曳いて悄然と去っ
て行く。復讐は果たされず、かけがえのない親友を死なせて、主人公は墜ちた英雄だよ。スコットは、
真っ当なヒーロー役なら沢山演ってるから、たまにはこういう心理的な作品の、屈折した役もいいかも
知れないね。

 結婚式をパーにされてカンカンのスチールが、厩に怒鳴り込んでスコットに平手打ちを食わせ、すか
さずスコットが彼女のお尻をひっぱたいて追い出し、スチールがお尻をさすりながら引き上げてったり、
禁酒を説く治安判事がウイスキーの瓶を隠し持ってるのがばれたりと、多少滑稽な場面もあるけど、ス
コット−ベティカー作品は第一作以来、だんだん暗くなるね。最終作辺りじゃ、主人公が首くくりでも
しなきゃ追っつきそうにないよ。
[2006年7月9日 21時16分44秒]

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