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お名前: 放浪者
さすがノスタル爺さん、よくご存知ですね。
クロケットの伝記によれば、この「風刺軽喜劇」「西部のライオン(後に「ケンタッキー男、 またはニューヨークへの旅」と改称された)」は、1830年ジェームズ・カーク・ポールヂン グが書いたもので、1年ほどの準備期間を経てから俳優ジェームズ・ハケットの主演でニューヨ ークで公演され大当たりをとり、イギリスまで海外興行にでるほどになったそうです。主人公の
の名前はケンタッキー出身の偏屈で高慢な議員ニムロッド・ワイルドファイアとなっています。
この芝居やクロケットのからみなどは、時代背景が判らないと見当もつかないことになりそう
です。アンドルー・ジャクソンという人物ーー第7代大統領になりましたーーとの関係が無視で
きないのですが、適当な文献が見つかりませんので、ご存知ない方には説明のしようがないのが 残念です。ワシントンでの政争がかなり関係しているのですが、まずその内容が判りません。
1833年12月、イギリスからの「凱旋公演」を行った際にクロケットが芝居を見たのは、
映画の通りですが、伝記によればクロケットは劇場の袖の席ではなく、前列の中央の座席でハケ
ットと観衆への賛辞を送ったそうです。
以上は、THE FRONTIERSMAN:The Real Life and the Many Legends of DAVY CROKETT, By Mark
Derr,New York, 1993 の記述によりました。
[2004年10月14日 20時43分28秒]
お名前: ノスタル爺
放浪者さん、レスありがとうございます。
クロケットをモデルにしたジェームズ・H・ハケットの芝居「西部のライオン」を、クロケットは
1833年12月にワシントンで観ているんですね。
ハケットが舞台に進み出てクロケットにお辞儀をし、クロケットも立ち上がって返礼し、満場が
わきかえったそうです。
そのシーンを再現していたのが嬉しかったです。
芝居のクロケットだったジョン・ウェインに対して、ビリー・ボブ・ソーントンが真のクロケットという
ことを暗に表現しているのではないかと思いましたよ。
私にとって、この作品の収穫は、クロケットだけかなァ。
[2004年10月12日 7時32分13秒]
お名前: 放浪者
ノスタル爺さん、こんにちわ。
>何でいまさら“アラモ”といった感じなのですが、9.11が関係しているのですかね。
これは間違いありません。「9.11」直後の異常なまでの愛国心の発揚を見て、急遽企画
されたと何人もの関係者が言っていますよ。
始めはロン・ハワードが監督するはずでしたが、予算が当初の1億2千万ドルから企画
の段階で1億5千万ドルを越してしまったので、ラブロマンス抜きの西部劇では危険な投
資額と判断されて、ハワードは製作にまわされ地味な作風で知られるテキサス人ジョン・
リー・ハンコックにお鉢が回ったという話です。予算も大幅に削られ7千万ドル前後に抑
えるはずでしたが、当初のつまずきから9千万ドル前後ということで製作が開始されたと、
いいます。それでも最終的には1億5百万ドルとなりました。別に宣伝費など間接経費が
3千万ドル加わります。
>ヒーローたちを現代風に欠点もある人間として描いたので、サンタ・アナがメチャクチャ嫌な奴
として描かれています。
メキシコ兵もあんな奴に従わなきゃいけないので可哀そうだなあ、といった感じですね。
なんといっても、「サンタ・アナ=サダム・フセイン」のはずでしたから当然と言えば、当然
なんですけどね。案に相違して、現実のフセインはあっけなく打倒されてしまい、観客の関心は
よそへ移ってしまいました。「アメリカ人は5万人の出血に耐えられないが、我々は充分に耐え られる」なんて嘯いたというフセインの姿が、「兵士の命など物の数ではない」と言って、もう
1日待ては重砲が到着するするというのに、アラモの貧弱な防壁を破壊するために兵士の血をも ってするサンタ・アナと容易に重なりますね。
>ビリー・ボブ・ソーントンのデイヴィ・クロケットは、これまでにないクロケット像で、実在感があって良かったです。
これには同感ですね。クロケットの伝記「デービィー・クロケットーー辺境の伝説」に書かれ ていた姿とも一致しています。
>史実にのっとってリアルに描いたという割りには、?のところがいくつかありました。
アラモ総攻撃のシーンで、砦に歩哨が一人も立っていないというのはどうかな。
暗闇に乗じてメキシコ軍が砦に近づいてくるスリルアップのための演出でしょうが、銃声を聞いて
起きるのでは遅いような気がします。
これはむしろ史実に忠実な描写でしょう。包囲が始まってから10日間、日夜を分かたずに防 御側に休養を与えないために、断続的な砲撃を続けていたので疲労が蓄積していました。そして
攻撃前夜、守備隊の気を緩めるように午後8時ごろから砲撃のテンポを下げ、11時には完全に
休止したといいます。既に午前1時までには攻撃部隊の移動と配置は完了していたはずです。
唯一、砦から脱出したモーゼス・ローズの証言によれば、午後9時ごろに砦を脱した彼は哨戒
線がないことに気づいたそうです。すでに、メキシコ軍は移動を開始していたので、その空白を
衝いたことになります。
ですから、砦正面の哨点の兵までが疲れから眠り込んでいて、メキシコ側に奇襲されたとして
も不思議はありません。それでも、簡単には砦の内部に侵入できないほどの抵抗を受けて、2度
も兵を下げ、新手や再編成した部隊を投入せざるを得ませんでした。
>テキサス軍の被害は死者9人、負傷者28人という大勝利のサン・ハシントの戦いは、史実は
奇襲戦なのにメキシコ軍が待ちかまえているところへ、テキサス軍が突撃しますね。
いくらなんでも、あれではテキサス軍に相当の犠牲が出ますよ。
同感ですね。史実では、シエスタ(昼寝)をしているメキシコ軍を急襲したので一方的な戦い
になってしまったのですから。それと攻撃前にヒューストンがいう「リメンバー、アラモ!」は
間違いだそうです。本当は「リメンバー!ゴリアド&アラモ!」だったといいます。犠牲者の数
から考えれば当然で、前者では400人近い戦死者と処刑者を出しています。アラモは190人
に足りませんから、規模からいえばゴリアドが先になるわけですね。
>アメリカ人の勇敢さを強調している演出で疑問が残りました。
アイズナー会長の余計な口出しのせいのようです。
いずれにしても、内容のある「特典版つきDVDセット」が発売されることを期待しますね。
[2004年10月10日 17時3分28秒]
お名前: 放浪者
新旧「アラモ」について、散々書きなぐってきた「犯人」として、新作を見ないわけには
いきませんから、首都圏台風直撃の午後に行ってまいりました。案の定ーー当たり前ですけ
どーー劇場には10数人の観客がいただけでした。特殊な状況下ですから、興行収入の予想
に材料にはなりませんね。
感想としては、正に「ウェイナモ」で散々書いたように、「マニア絶賛、素人ド白け」の
作品ですね。最近の史劇ものによく見られる欠陥をもろに露呈しています。しかも登場人物
のほとんどがなじみのない人物だし、俳優も同様だし、誰が主人公やら、何がテーマなのか
もつかめないままに「アラモ砦とテキサス独立を決めた戦い」の絵巻をダラダラと見せられ
ている感じでしょうね。実際、2〜3人の観客が途中で退席していました。(退屈したのか、
台風を心配したのかは判りませんけど。)
なまじに「史実に従って忠実に歴史を再現した」なんて謳わずに、西部の名高い伝説の戦
いを描いた歴史パノラマとでもしておいた方がよかったのでは?と思いました。
アラモへの「増援部隊」を前指揮官のサム・ニール大佐が率いて「帰着」したりしている
ところなんか、本来「正規軍代理指揮官」でしかないトラヴィスの地位はどうなるの?なん
てところやナポレオンの大軍に対する「引きずり込み」にならったというヒューストンの戦
術なども、ウェリントンではなくロシアのクツーゾフのそれを見事に間違えていたりで、史
実に「忠実」なんていえません。
映像と音響は文句なく良いですから、ウェイナモとの比較がてら数少ない「西部劇」とし
てご覧になる価値はあると思います。
[2004年10月9日 19時53分3秒]
お名前: ノスタル爺
何でいまさら“アラモ”といった感じなのですが、9.11が関係しているのですかね。
ヒーローたちを現代風に欠点もある人間として描いたので、サンタ・アナがメチャクチャ嫌な奴
として描かれています。
メキシコ兵もあんな奴に従わなきゃいけないので可哀そうだなあ、といった感じですね。
ビリー・ボブ・ソーントンのデイヴィ・クロケットは、これまでにないクロケット像で、実在感が
あって良かったです。
史実にのっとってリアルに描いたという割りには、?のところがいくつかありました。
アラモ総攻撃のシーンで、砦に歩哨が一人も立っていないというのはどうかな。
暗闇に乗じてメキシコ軍が砦に近づいてくるスリルアップのための演出でしょうが、銃声を聞いて
起きるのでは遅いような気がします。
テキサス軍の被害は死者9人、負傷者28人という大勝利のサン・ハシントの戦いは、史実は
奇襲戦なのにメキシコ軍が待ちかまえているところへ、テキサス軍が突撃しますね。
いくらなんでも、あれではテキサス軍に相当の犠牲が出ますよ。
アメリカ人の勇敢さを強調している演出で疑問が残りました。
[2004年10月2日 9時10分58秒]
お名前: デンバーパイル
ジョン・ウェインの「アラモ」とは違い、今回の「アラモ」は実際の戦闘シーンと同様に夜間の攻撃でした。
榴散弾はあったかも知れませんが、映画の中では釘とか鉄片を入れた弾を使用していたようです。
メキシコ軍の銃にはライフリングがなく、ケンタッキーライフルより命中率、射程とも劣っていたそうです。
猪瀬直樹さんが褒めていましたが、見た感想は「?」ですね!アラモの戦いからサンジャシントまで描くには短すぎます。娯楽性では遥かにジョン・ウェインの「アラモ」の方が良かったです。
音楽もやはりデミトリー・ティオムキンの「アラモ」とは比較できるレベルではないですね!
撮影場所が分かりまだセットが残っているようだったら、見にいきたいですが!
ジョン・ウェインの「アラモ」の撮影場所はテキサスにまだ残っています。
[2004年9月28日 23時50分26秒]
お名前: マパッチ
以前『新アラモ』のスレでノスタル爺様が触れていらっしゃった「歴史忠実解釈版」のアラモです。
監督は『オールド・ルーキー』のジョン・リー・ハンコック。
サム・ヒューストンをデニス・クエイド、デイビー・クロケットはちょっと意外どころでビリー・
ボブ・ソーントン、ジム・ボウイが『スリーパーズ』のジェイソン・パトリック、トラヴィス中佐
は新人俳優のパトリック・ウィルソンが演じています。
ジョン・ウェイン版と異なるのは、メキシコ軍のサンタアナ将軍が重要な役割を演じていることで、
この役は『アモーレス・ペロス』のメキシコ版座頭市とでも呼びたくなるような元大学教授の殺し屋を
演じていたエミリオ・エチェバリアが好演しています。
とはいえ、映画自体は現代のアメリカに非常に都合良く作られているので、メキシコ軍は結局最終
的には悪役なのですが。
「歴史に忠実」とロン・ハワードも監督さんも強調していますが、今回の『アラモ』が以前のそれ
と違うのは、テキサスの独立を望んだのはメキシコ人で、アメリカはそれを助けたという構図に
なっている点でしょう。これも、実際にそうだったかどうかというよりも、アフガニスタンやイラクで
アメリカがやったことの隠喩のようでもあり、ある意味では『華氏911』よりもよっぽど現代の
アメリカを象徴しているような気がします。アメリカを最も良く体現することの出来る映画は、
やはり西部劇に限るのかも知れません。
歴史に忠実という点では、使われる銃器類、特に大砲がリアルでした。
この時代(1836年)はまだ炸裂弾が誕生したばかりですから、この映画でもまだ炸裂しない、
弾丸の穴に火薬を詰めただけの砲丸が主流になっています。ひょっとしたらアラモ砦の守備側には
炸裂弾が装備されていたかも知れませんが、普通の映画なら無視してしまいそうな設定にこだわっ
ているあたりは面白かったです。
[2004年9月1日 21時14分25秒]
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