1975年製作、1976年公開のカーク・ダグラス製作、監督、主演作品。当時はもう映画を
殆ど見ておらず、この映画の存在すら知らなかった（その年映画館で見たのは僅か６本でそ
の内の１本が「オレゴン魂」）。「傍役グラフティー：川本三郎他、ブロンズ社」のブルー
ス・ダーンの項で知り、ＴＶ放映を録っておいたものを今回初めて見た。
　1975年はサイゴンが陥落しベトナム戦争終結の年です。映画を何でも社会情勢や世相に結
びつけるのは好きではありませんが、まアこの映画は時代の影響を受けているでしょうね。
　次期上院議員に野心を燃やす連邦保安官Ｋ・ダグラスは、精鋭の５人の部下を従え悪名高
い強盗団のボス、Ｂ・ダーン追い詰め捕える。又、彼はその活躍を専属のカメラマンに撮ら
せて新聞社に売り込んでいた。しかし列車で護送中に逃げられ、Ｋ・ダグラスは手錠を掛け
られたまま町へ戻される…。
　アメリカでは正義を行う人はヒーローになりうるがその人間性はどうかと問うひねりを加
えているがそれだけで映画としての魅力がない。又、西部劇としては面白くない。Ｋ・ダグ
ラスは製作、監督迄して単純なヒーローの活躍を撮りたくなかったのだろうけれど。
　いかにこの頃西部劇を作るのにもがいていたかがよくわかる。ほぼ私の西部劇履歴と時期
を同じくするＫ・ダグラスによってしても西部劇終焉を感じる哀しい一品です。
　悪役Ｂ・ダーンはＫ・ダグラスやその部下を出し抜く頭のよさと、人間性の弱い所を突く
嫌らしさも併せ持つ役柄だが、今までの役や何時も口をあけているような容貌からそこまで
の悪人に見えない点ももう一つと思う。

[2003年12月17日 21時27分59秒]