ランディ・スコットとバッド・ベテイカー監督の第五作。南北戦争中、ジョン・ヘイズ北軍大尉は、
軍資金調達のため、大陸横断駅馬車で、カリフォルニアから連邦銀行まで大量の金輸送の命令を受ける。
南軍が全力で阻止するってえ困難な任務だよ。新しい駅馬車司令部を置くコロラド州ジュールスバーグ
に向かう駅馬車で、ヘイズはロッド・ミラーと知り合う。戦争で左腕をなくして帰郷する北軍兵士さ。
ミラーの農園で、妻のジーニーが大喜びで夫を出迎えて、夫の戦傷を冷静に受け止めようとするね。
ジュールスバーグでは、駅馬車事務所が閉鎖され、事務所代表だった旧友のクレイ・パトナムも辞任
してる。パトナムは事務員が馬と物資を盗んだっていい、自分はヘイズの以前の女友達のノーマと結婚
したっていう。実は、パトナムはひそかに南軍のために働いてるんで、無法者のメイスを使って駅馬車
を妨害してるんだよ。メイスはヘイズを殺そうっていうけど、クレイは、殺しには反対で、代わりにあち
こちの駅馬車中継所を破壊させる。ロイが片手では銃をコックできずに苛立ってる時に、ヘイズが、ロ
イとジーニーに、彼らの農場で駅舎を管理しねえかって持ちかけて、ロイに希望を与えるんで、メイス
の妨害が予想されるけど夫婦は引き受けるね。
メイスと子分は、路線のいたるところで、いくつかの駅舎を破壊して馬を盗むけど、ヘイズとロッド
は馬を見つけて、ロッドが片手で銃を操ってる間に、ヘイズは馬を取り戻すのさ。だけど、夜、ミラー牧
場で、悪党一味がヘイズと間違えてロッドを闇討ちする。さらに、メイスと子分が、金だけでなく女子
供の旅客を乗せた駅馬車を待ち伏せして、崖から転落させたんで、クレイは罪悪感で飲んだくれて、メ
イスにジュールスバーグから離れろっていうけど、この悪党は誰にも忠誠心なんてねえから、金輸送の
待ち伏せを止める気はないね。ついにロッドが死に、ジーニーはヘイズの腕の中で泣くよ。
ヘイズはジュールスバーグの表通りに行って、メイスに出て来いって呼びかける。メイスと子分がホ
テルを出て、撃ち合いが始まったところへ、クレイが、メイスにやめろって叫びながら馬車で町に突入
して、メイスに撃たれるけど、ヘイズがすぐメイスを撃ち倒す。クレイは、ヘイズにノーマの面倒を見
てくれって言い残して息絶えるね。
ヘイズはノーマを東部行きの駅馬車に乗せた後、一人で駅舎管理を続けるっていうジーニーに援助を
約束して、馬上から一本指で敬礼して去って行く。ジーニーがその真似をして、ヘイズの後ろ姿に向かっ
て一本指の敬礼を投げるのが終幕さ。
まあ、それまでの諸作みてえに際立ってるとか、鋭い切れ味とかって感じはねえ普通の西部劇だけど、
よくまとまってるよ。駅馬車路線がカリフォルニアの複雑な丘陵地帯の曲がりくねった道なのが、大平
原を走るのとまた違って珍しかったね。
パトナムを演るアンドルー・ダガンは「サンダウンの決断」じゃ悪保安官だったけど、ここではお金
持ちで、立派な邸に住んでるよ。仇役だけど、一応南軍のためって大義があるから、私利私欲だけの悪
党とは違うね。ヘイスのマイケル・ペイトは、以前の「捨て身の一撃」でもランディと撃ち合った拳銃
使いだけど、それから四年経って悪党らしい貫禄が増したって思うよ。
主演女優はノーマを演る妖艶なバージニア・メイヨだけど、ヒロインは、出征した夫の留守を守って、
健気に農作業するジーニーのカレン・スチールだね。スチールは当時監督夫人だったようで、どうも監
督さんてのは、腰の細い、胸の大きな美人が奥さんだと、見せびらかしたくなるんじゃねえかなあ。
[2006年7月23日 22時52分0秒]