作品名: 大いなる決闘 - |
俳優には年齢を積み重ねていくにつれて味が出てそれまでになかった魅力を発揮する、所謂「うまく 歳を取る」タイプと、ちょっとヒドイ云い方ですが、タダしぼんでいくだけのタイプとがあると思っ てます。前者の代表はなんと云ってもS・コネリーだと思いますが、B・ランカスター、J・コバー ン、R・ギアなんかもそうではないでしょうか。逆に後者の代表が、申し訳ありませんがヘストン、 シュワルツェネッガー等ですね。K・ダグラスも10年位前にTVで「Draw!」(恐らく劇場未公開) と云う西部劇を見ましたが、ヨボヨボでしたネ。ただ、あの「星のない男」のガン捌きは健在で「腕 に歳はとらせない」プロ根性は流石と感心はしましたが…。 ヘストンの熟年に入ってからの急速な衰え振りはどうしたことでしょう。ただ歳をとるだけで一向に 所謂イイ味が出てこない(断っときますが私が思うだけですヨ)。「トゥーム・ストーン」「トゥル ー・ライズ」のような大作への顔見世出演も、かつてのJ・ホーキンスやO・ウェルズ、L・オリヴ ィエのような存在感がないのでは意味がありません。この映画ではその「うまく歳をとれない」ヘス トンを、逆にうまく活かしたマクラグレンの手腕に拍手を送りたいと思います。久々にはまってまし た。ラストでコバーンに何度も撃たれますよね。いくら急所をはずしてるとは云え、普通なら「あん な至近距離で、そんなー」となりそうなとこですが、ヘストンなら「さもありなん」と云っちゃいそ うですよ。「ここまで」でしょうかネ。文字通りの「Last Hardman」でした。 ところで「100万ドルの血斗」で颯爽たるところを見せたC・ミッチャム、この映画でも持ち味を活 かした好演でしたが、その後期待したほどの活躍が見られなかったのは残念です。[2006年10月9日 12時2分36秒]
大切なのはあの人の命で、ほかのたいていのことはなんとかなる。 このセリフを、水耕栽培という新らしい技術を持った娘の恋人に言わせる ための作品だったかと思います。コバーンの救いようの無いワルぶり と古いタイプの、あの状況では確実に飛び出していく父親を殴り倒して じっと我慢する、新しいタイプの鉄人、それが原題のラスト・アイアン マン、ヘストンを乗り越えて新西部を作っていったのでしょう。 それにしても、娘に同情していた男があっけなく恋人にうち殺される のはしかたがない状況ではあっても、ちょっとつらかったです。[2003年6月6日 0時41分7秒]
ジェームズ・コバーンを偲んで、彼が悪に徹した演技で存在感をしめした『大いなる決闘』 (1976年/監督:アンドリュー・V・マクラグレン)を観ました。 西部開拓時代が終わりを告げた1909年のアリゾナが舞台。 物語は単純にして明快で、保安官(チャールトン・ヘストン)に恨みを抱く無法者が、仲間と 一緒に刑務所を脱走して、復讐にやってくるというもの。 この無法者がジェームズ・コバーンで、不敵なうす笑いを浮かべて腹の中では何を考えている かわからない。 冒頭、囚人のコバーンが、炎天下の鉄道工事現場で看守を殺して脱走するが、自分にとって 役立つ囚人だけを仲間にするんですね。それぞれ勝手に逃げていった囚人連中の後ろ姿を 見て、ニヤリと笑う陰険さ。彼らが、追跡隊の囮となることを計算しているんですよ。 土地勘のある囚人を目的地に着くまではうまく利用し、危険な存在になったとみるや、アッサリ 殺す残忍な性格。 そして、宿敵ヘストンを誘き出す手段として、ヘストンの娘(バーバラ・ハーシー)を誘拐します。 従来の西部劇では考えられない卑劣な方法です。 さらに、ヘストンが怒りで飛び出してくることを計算して、追跡してきたヘストンが見ている前で 娘を強姦。情け容赦なく仲間にマワさせて、自分はライフルを構えてヘストンを待ちうけている。 銃の腕前だけでなく、奸智にたけている悪党中の悪党です。 ロバート・テイラーをいたぶった『ゴースト・タウンの決闘』のリチャード・ウィドマーク以上の 悪党ぶりを見せてくれて、さすがのヘストンもコバーンの前では、影の薄い存在でした。 それにしても、ロング・スカーフを首に巻き、腰には西部劇には珍しい自動拳銃のコルト・ガバ メントというコバーンのスタイルは、抜群にカッコよかったですねえ。[2002年12月1日 12時37分43秒]