1946年のジャック・ターナー監督作品で、主演はダナ・アンドリュースとスーザン・ヘイワード。昔、
劇場で見てあんまり面白くなかったんで、もう一度見たいなんて思わなかったよ。何しろタイトルバック
じゃ、オレゴン州ポートランドの町に雨が降り続いてて、町の舗装されてない大通りはまさに泥んこで、不景
気ったらありゃしないからね。登場人物もかっこいいカウボーイなんていなくて、木こりとか鉱夫みたいな
人たちばかりだし、ガンベルトをつけたのなんていなかったんじゃないかな。
だけど「テキサス決死隊」のDVDに入ってたんで今度見直したら、面白くないって思うのは「風と共に
去りぬ」が西部活劇としちゃ面白くねえっていうようなもんだって分かったよ。これは1850年代後半の
西部を舞台にしたドラマなんで、威勢のいい西部活劇のつもりで見るもんじゃねえんだね。
アンドリュースは騾馬を使った運送業者で、商売は結構繁盛してるようだね。ブライアン・ドンレヴィが
珍しく悪党でなく主人公の友人で、ヘイワードと婚約してる銀行家だけど、困った人物でポーカー中毒なん
だよ。プロの賭博師にカモられてて何千ドルも負けが込み、とうとう鉱夫から預かってる砂金に手をつける。
発覚を恐れて鉱夫殺しの挙げ句、町民に追われて殺されるんで、やっぱり、ろくでもない男だね。
ワード・ボンドは札付きの無頼漢で、物語の開始前にすで鉱夫を二人ほど殺してるらしいよ。映画が始まっ
て間もなく、ポートランドのホテルでアンドリュースが寝てる部屋に、砂金をねらって賊が忍び込むけど、
これもボンドらしいね。悪事を重ねた上、遂にインディアン女性殺しをしでかして、憤激したインディアン
が入植者たちを殺す暴動になる。アンドリュースとボンドの格闘シーンは迫力があるよ。この映画のボンド
は暴力的な凄みが出してて、いい役者だね。
作曲家のホーギー・カーマイケルが町民の一人で、何か商売してるらしいけど、マンドリンを弾いて歌を
聴かせるよ。ちょっと不思議な人物で、ドンレヴィが鉱夫殺しで町民裁判にかけられた時、ロイド・ブリジェ
スが性急に有罪を主張するのをたしなめる一方で、自分が手に入れた犯行の有力な証拠はためらわずに提出
する。道化役のようでもあり、冷徹な賢人のようでもあるね。
アンディ・デヴァインと彼の実の息子たちも入植者で出てるけど、インディアンの蜂起で殺されるよ。よく
西部劇で見かける乾いた岩山や砂漠でなく、緑の多いオレゴンの景色が素晴らしいね。結婚する若夫婦のた
めに人々が総出で丸太小屋作りをするのを丹念に写したりしていて、味のある作品だよ。
[2008年3月15日 20時52分18秒]