イーストウッドは「続・夕陽のガンマン」を最後にイタリアでえた名声を引っさげてハリウッドに凱
旋、その第1作でした。I・スティーブンス、E・べグリー、B・ジョンソン、B・ダーン等が出て
います。T・ポスト監督とのコンビはその後「ダーティーハリー2」で再現されましたネ。原題は
「Hang'em High」ですからそのまんまですネ。
牛泥棒と間違えられたイーストウッドはべグリー一味のリンチに合い吊るし首にされますが、運よく
巡回中のB・ジョンソン保安官に助けられます。(ジョンソンの手綱捌きは相変わらず。騎兵隊三部
作の頃とちっとも変わりません。いきなりトップスピードでロケットスタート、キキキっと止まると
きの人馬一体となった姿の美しさ、抜群です)
九死に一生をえたイーストウッドは、人手不足に頭を悩ませていた判事の頼みで保安官となり、自分
をリンチにかけた奴等を高く吊せとばかりに行動を開始します。一方、べグリー一味は無実の人間を
リンチに掛けてしまったことへの良心の呵責から結束が乱れ始め、座して死を待つよりも今度こそイ
ーストウッドの息の根を止めようと主張するべグリーのもとに残った手下は2人だけとなってしまい
ます。州への昇格を企図する判事は、法の厳正な執行のプロパガンダとしてイーストウッドの反対を
押し切って大量公開縛り首を敢行しますが、イーストウッドは、皮肉にもその騒ぎの中でまたもべグ
リー一味に襲われ瀕死の重傷を負ってしまいます。で、またも運よくI・スティーブンスの献身的な
看護で蘇生。この辺り「何やってんのよ」って感じもありますね。学習能力がないと云うか…。イー
ストウッドも「この女、俺に気があるナ」とばかりに、まだ復讐が終わってないのにイチャつこうと
したり、T・ポストってどうなんでしょうかネー。そう云えば「ダーティーハリー」の中でもツーは
あんまり評価高くないんですヨネ。結局、手下はイーストウッドに射殺され、べグリーは首を括って
自殺、と云うことになるわけですが、音楽も含めて前編これマカロニ調なのはご愛嬌ですかね。
作り方によっては「オックス・ボウ事件」のようにスゴク重たい話になるところ、お手軽な感じで、
凱旋記念作品にしてはさえない1作、まあ、凡作と云っていいんでしょうけど、無精髭もポンチョも
ないアメリカン保安官スタイルの、しかもまだ「ローハイド」の髪型のイーストウッドがスクリーン
で見られると云うことでご紹介しました。機会があったらご覧ください。今回ビデオを見直してI・
スティーブンスが浜崎あゆみにそっくりなのにビックリでした。
そうそう、私、「追跡者」のご紹介で「保安官が背中から撃つなんて見たことない」と書きました
が、この映画でジョンソン保安官がやっちゃってました。イーストウッドは、この後「マンハッタン
無宿」を経て「ダーティーハリー」で2度目の大ブレーク、スター街道まっしぐらとなるわけです。
[2006年6月11日 8時31分31秒]