1951年作品。主人公のレダン(ランドルフ・スコット)は南部の出ですが、戦争で
家族も財産も失い、新生活を築こうと幌馬車隊に加わってアリゾナに来ます。一行にはス
ティント(レイモンド・マッセイ)もいますが、一見して「これは悪党だ」と分かる面構
えなので、マッセイ氏には申し訳ないけれど笑ってしまいました。
南部紳士の主人公は、プレスコットの町で雑貨屋の主人のドン・ミゲルや酒場のオーナー
のクレインに暖かく迎えられ、ドン・ミゲル(S.Z.サコール)からは、商品を仕入れ
にラ・パスの町に行く仕事を頼まれて、資金の5,000ドルを託されます。酒場の主人の
クレインはシュガーフットに、「ここでは人は地位や家柄などでなく、人となりで評価さ
れる。あなたはまだこの界隈に溶け込んでいない」などと横丁のご隠居か大家さんみたい
な辛口の意見もします。「悪く思わないでくれ」というクレインに主人公は、「それどこ
ろか、ご忠告有り難う」といって二人は握手します。
そういうわけで、これはいわば人情物だろうって気がします。威勢のいい活劇を期待し
て見ては当て外れでしょう。賄い付き下宿のおばさんが主人公に「シュガーフット」とあ
だ名を付け、これが映画の原題です。「シュガーフット」とは「新米」とか「駆け出し」
とかの意味でしょうから、いつもと趣向が違うのがスコット・ファンとしては面白いです。
しかし西部劇であるからにはもちろん事件も起きます。テントに戻ってきた主人公が、待
ち伏せしていたスティントに薪ざっぱで頭を殴られ、ドン・ミゲルから預かった5,000
ドルの入った胴巻きを奪われます。
翌朝、意識の戻った主人公に太っ腹なドン・ミゲルは再度5,000ドル渡します。主人
公も今度は用心して、金鉱探しのジョーンズ(アーサー・ハニカット)を雇い、以後二人
は相棒で、ベテラン西部男のジョーンズは西部で生きて行くための心得をいろいろ主人公
に伝授します。
酒場の人気歌手で、主人公と結ばれるヒロインはアデール・ジャーゲンスという美人の
女優さんですが、ワーナーは当初この役にパトリシア・ニールを予定していたそうで、そ
の通りになっていたら珍しいP・ニールの西部劇が見られたわけです。といっても、ヒロ
インがピストルを撃つわけじゃありませんけどね。ヒロインの友達で酒場の雑役夫の「ス
トーブの後ろのジョニー」を演じるハンク・ウォーデンがとぼけた味わいです。
[2009年2月8日 12時23分11秒]