GLN 宗教を読む

法華経

◆4.信解品
比喩品で述べたように、お釈迦さまがこの世の衆生を救済されようとしている慈悲と、知恵のことを、迦葉尊者をはじめとする四人のお弟子たちがみずから理解したことがらとして、お釈迦さまに喩え話のかたちで申し上げます。長者の息子が子供のころに行方不明になり、何年も流浪生活を続け青年になったころに、父である長者と再会します。父親は我が子と気が付きますが、息子のほうは想像だに出来ません。無理やり屋敷に連れてきたのでは抵抗するばかりですから、まずは屋敷の仕事をするように仕組み、だんだん屋敷の生活に慣れさせるために、長者自らが変装して同じような使用人のふりをして息子に近づき、やがてその能力を認めるかたちで、重要な役職につかせ、最後に親子として名乗りでて、息子もそれを認め、親の財産を受け継いだ、という物語です。ここでの父親はお釈迦さまのこと、流浪していた息子はわれわれ衆生のことです。いきなりおまえは我が息子だといっても信じてもらえず、かえって逃げ出すかもしれない。そこで次第に気が付かせるように、時間を掛けていろいろな手段を使い、やがて息子も父の存在を認めるようになるわけです。そのための手段が、お釈迦さまがこれまで説いてこられた方便の教えであり、父親が最後に息子に与えた全財産とは、最高の功徳である法華経のことです。父親と息子の関係を、方便の教えとお釈迦さまの真実の教えとの関係として説かれています。

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