△古事記 下巻 白髪大倭根子天皇(清寧天皇)
 
〈譲り合い〉
 ここに、二柱の王子たちは、お互いに天下を譲り合われて、意富祁命は、その弟袁祁 命に譲って仰せになるには、
「針間の志自牟の家に住んでいたときに、貴命が名を明らかにしなかったら、決して天 下に君臨出来るようにはならなかった。このことは全く、貴命の功であった。自分は兄 ではあるが、矢張り貴命がまず天下をお治めされるように」
と言って、堅くお譲りになった。
 そこで、ご辞退出来なかったので、袁祁命が先に天下をお治めになった。
[次へ進む]  [バック]