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13 からめ節金山踊り

 第三節 芸能の変遷
 
 「からめ節」は、民謡の部門に分類され、民謡は次のように定義される。
@民謡とは、地方の農産漁村で生産に従事する人たちが、祭儀や労働を集
団で行うときに歌い始めた唄で、特定の創作者を意識せず、互いの意思が
疎通し合うなかで唄の形になった。
Aしかもその唄が、流行歌のような一時的なものではなく、親から子、子
から孫へと伝承されていく。
Bその伝承も文字や楽譜を媒体とせず、口から耳へと伝えられる。
C必要に応じて集団が歌い継いでいくため、時代とともに歌詞や節が変化
していく。
 そこでこの芸能について、その変遷を調査した。
 
一、旧からめ節の元唄
 
 現在のからめ節金山踊りは、地元尾去沢の有志の努力により、昭和五十
九年に「尾去沢からめ節保存会」を発足させて、鋭意保存伝承に取り組ま
れている。
 これに対して、その保存会発足当時までに伝えられていたものを、本稿
では便宜上「旧からめ節」と呼ぶこととする。(昭和六十二年発行『無形
民俗文化財後継者育成事業 学習資料 鹿角市無形文化財 からめ節・金山
踊り』より)
 
 さて、万延元年(一八六〇)に盛岡藩主南部利剛が鹿角を巡見したとき
尾去沢に立ち寄り、金場で働く婦人たちの唄を見聞きしたという。そのと
きに歌い踊られたものが、旧からめ節の元とされている。
 
 ○西は台所東ハ床屋いつもとんとん音がする
 ○赤澤山より元山よりも白(金偏+白)の出る山田ごうり山
 ○親父大黒カヽア恵比寿顔一人リ娘は弁才天
 ○直リ親父の金場を見れば白(金偏+白)で山築富士の山
 ○金のべこゝに錦の手綱我も我もと引たかる

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