わが家には、北側に庇を張り出してブダ(豚)小屋があった。
床はセメントを張っていた。広さは一間四方か、一間半四方かであった。
ワラを敷いて、何日かすると取り替える。
湿った(用済み)ワラはコィヂガ(肥塚)に積んでゆく。 コィヂガには、夏のうちに、このようなワラや田のクロ(畦)の草、 また人手のある家ではカノガ(芝草)などを積んで腐らすのであった。そのように積んだ 中には、大小のメメヂ(ミミズ)がウヨウヨしていたり、 クワガタの幼虫もいたりした。 ここ松館では宅地がそれぞれ隣接しており、コィヂガは普通、家の北側に造る。 すると南隣の家の縁側乃至奥座敷では、いつも隣家のコィヂガの臭いがしたものであった。 ブダの餌として、花輪の浅利醤油屋から醤油粕を飼ってきて与えた。 このしょっぱい醤油粕を、ジョミヂ(除水。米の研ぎ汁や残飯などのこと)に混ぜ、 屑芋(ジャガイモ)・大根・砂糖大根・その他の菜っぱなども入れて養った。 |
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