松岡武四郎が帰るときに自然銅、紫水晶、床ズレの三品をもらったといっている
が、来た時の鹿沢蕃所の後半は省略したが、床ズレについてこう書いている。荒吹
所のことを書いて、「扨此吹壺下に留りしを底(トコ)ズレと云て鰡(ナヨシ)の臍の如
きもの出る。是至て金気多きよし、魚毒に当りし時は是を煎して用ゆるとよしと云
へり。」 要するに魚に中毒になったときの薬なわけだが、わからないのは「ナヨシの臍」、 そこで字典をさがした。 なよし(名吉、鰡):ボラ。 卵巣を塩漬けにしてかカラスミをつくる。日本では成長するにつれて、おぼこ、す ばしり(走(魚偏+魚))、いな(イナ)、ぼら(鯔、鰡、老(魚偏+老))、とど、 と呼び名が変る出世魚の一つ。 臍(へそ、ほぞ)はわかるとして、なよしの臍となったら、どうなるか、誰か見 たことある人ありませんか。 |