鹿友会誌を紐とく
「第七冊(明治36.7)」
 
△例会
 巻頭に会告をなし、会費未納の人達に会費納入を促す。また花輪での八月例会には、 賛成員の出席を促したが大里壽氏外一名しか出席に至らず。
 五月の百二十二例会のとき、大館中学校の修学旅行があり、同校に在学している鹿角 出身者をこの会に誘ったところ、数名の参会者があり、盛会になった。
 
△会誌発行
 会計報告に於いて、これまでの会誌発行は何とかしてきたが、五号発行までの間に積 立金は、悉く底をついてしまった。六号発行の際は、大里文五郎氏の大いなる寄付をも って発行出来たことが記されている。
 
△「社会と個人 佐藤良太郎」
 この中で佐藤氏は、近頃所謂個人主義の台頭を憂うる文を論説している。
 
 (要旨)前時代の智識は、次の時代の人に伝えられるが故に大きくなり実力は増加す る。人は、祖先の満足を満足とせずに努力する。この事によって、時代精神、社会精神 が進歩してきたのである。個人の性格は、社会の精神の感化を受けないものはない。個 人は、社会よりその品格を受けて、維持してきたものである。
一、人格なくしては法律上、人にあらず
二、人格なくしては倫理上、人にあらず
三、智識なくしては、万物の長とはいえず
 
 更に社会なくしては人格なし、倫理上、人格とは社会に対する義務を行使することで ある。社会とは、我々一人ひとりに対し、かなりな面に於いて影響を及ぼし、個を作り 上げる為に尽力しているものである。我々個々人がこれに対し、一片の義務もないとは、 到底言えないものである。

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