鹿友会誌(抄) 「第二冊」 |
△先輩紀伝 内藤虎、附を云ふ、余か亡母は泉澤氏恭助翁の女、而して父十灣翁は、少時恭助翁に従 学し、祖樂善翁は、織太翁と友とし、善し本紙を編するの次、織太翁の遺稿を熊之助叔に 借りて之を読む、中に樂善翁と贈答する者多し、 虎、晩生樂善翁と織太翁と皆見るに及ばずと雖も、之を誦すれば、恍として両祖の音 容に接するの思あるなり、其の一二を左に録す ○重陽感懐贈藤子赫豐伯鄰 紫萸黄菊入重陽。独坐何堪酔酒陽。懶性支離悲日月。旧遊流落歓滄桑。丹楓秋老千峯色 。白屋寒揺一笛霜。不是登高兄弟会。只今誰得縦詩章。 ○初春次藤子赫見寄韻 尚(彳偏+尚)羊(彳偏+羊)柏館東。画角一声通。村郭春相望。山巒雪未融。交遊知有過。廟略懼無忠。 鮑氏中興志。当依管仲功。 ○得内藤氏書却寄 茅堂連日雨蕭森。忽有双魚散夕陰。意気青雲須自愛。因君此日聊長吟。 浮雲万里望相連。回首風塵独自憐。夜々徒看星斗気。不知何歳躍重淵。 |