鹿友会誌(抄)
「第四十一冊」
 
△秋雑詠   小田島青蛾
○画房秋風園
 金慾しき日なり芙蓉を描き始む
 芙蓉花と描きし人形はスパニヨラ
 スパニヨラ傲り芙蓉の花持てる
 幽き眸は愛し秋風身に沁みる
 芙蓉描きわが焦心を忘れゐたり
 パイプの火消えて芙蓉を描き疲る
 赤とんぼ画房の窓と昏れ行ける
 月いでば酒は侘しく酌むべかり
 文明をいとしみ今日も冴ゆる月
 わがたつき悲し芙蓉は夜のかげを

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