鹿友会誌(抄) 「第三十九冊」 |
△山本幸藏翁略歴 明治七年七月毛馬内小学校創立せらるゝや、泉澤熊之助・黒澤准治両氏と共に教鞭を 執り、本町教育の創建に尽力せられた。而して校舎狭隘を告ぐれば、同家の道場を開放して 教場に充てられた。又育英の事業に熱意を有し、同翁援助の下に、中等又は高等教育を 受けたもの多数に上り、陰徳を施された。 翁は壮時武道の作与に努め、山本道場を中心に幾多の剣士を輩出し、毛馬内をして 武道発祥地たらしめたのは、人の知る処である。 趣味として囲碁をよくし、本町に於ける指導者たるは勿論、晩年は将棋の研究に没頭し、 新聞の切抜などして丹念に斯道にいそしんだことは、教を受けし者の嘆賞する処である。 其の日常生活は極めて謹厳で、一言一行も苟くもせざる態度には敬服せざるものなく、 古武士の風格を備へたる、毛馬内に於ける最後の一人であった。 |