鹿友会誌(抄)
「第三十五冊」
 
△追悼記
○故豊口竹五郎君
 前毛馬内町長豊口竹五郎氏は、昨年秋頃より舌癌にかゝり、直ちに上京帝大病院鹽田 外科に於て手術を行ひ、鎌倉に静養をつづけ、本年二月上旬帰町、通常町会に参加して再び 患部に疼痛を訴へ、中途にして上京加療中の処、病勢遂に怠らず、六月二十三日心臓の 衰弱甚だしく、遂に午前四時長逝を見るに至った。
 氏は少壮の頃より家事を擲って政治に奔走し、県会の議席に連なること十有余年、大日向 作太郎議長の部下として大いに活躍し、本郡の為め残された功績は極めて少しとしない。
 葬儀は同二十九日午後一時より自邸出棺、仁叟寺に於て荘厳に営まれたず、町田前大臣、 毛馬内町其他より花輪造花等の寄贈あり、日本赤十字秋田支部長、毛馬内町長、郡町村長会長、 十和田会、在郷軍人分会、老兵会、友人代表等の哀切なる弔辞あり、会葬者五百人を超え 盛大であった。因に法号は、
「政樞軒義徳道洽居士」

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