鹿友会誌を紐とく 第三十冊(昭和2.12) |
△「東北研究の意義 柳田國男」 鹿角はその地理上の位置から、文化史研究の上に非常に興味があるところ、もし東北 で何処かを研究せよとしたなら、私は鹿角郡か若しくは気仙郡を選ぶ。 東北では金持にしろ、実業家学者政治家にしろ、一部の人は決して平均より劣ってい ないが、その下のレベルが低く、上の層が上っても、下がついて行かない、それが東 北の弱点であろうと思う。(詳細は別掲参照) △「朝日新聞社と鹿友会 小田島信一郎」 東京朝日の学芸部長である石川六郎氏が、鹿友会幹事長の縁により、東京朝日新聞社 で鹿友会秋季例会が開かれた。四十五名の近年にない大勢の出席者であった。 この例会席上で、前述の「東北研究の意義 柳田國男」の講演があった。 柳田氏の講演に、深く感銘を受けたのであった。 △「伝書鳩の話 青山直治(朝日新聞社信鳩係)」 鳩は非常に貞操観念が強いもので…… (鳩の話は大変楽しい) △「麻布の人々 山口猪助」 大正八年から十五年までまる七年、三十一畳へ多い時は十人、少ない時は五六人で 自活寮的生活をした。八畳二間、六畳二間へそれぞれ割処して思い思いに勉強を続ける。 あきてくれば、二階の八畳へ集まりトランプをやる。大抵まじめで、夜の外出は門限が 十一時、過ぎた者は三十銭の科料。 相互扶助的な合費制度で寮を経営、低廉な費用で勉強が出来たというような組織は、 今日でも郷党の若い人達に必要な気がする。 △例会 二百二十八回例会は、大正十五年十二月二十五日に行われた。 忘年会を切りタンポでとの計画であったが、聖上の崩御のため、しめやかに、されど 盛んに催せり、十八名。 二百三十一回例会は、朝日新聞社四階、出席四十五名、柳田國男朝日新聞社顧問の講 演(別掲)。 二百三十二回例会は、丸ノ内日本橋倶楽部、三十四名、町田前農相の講演。 △会員名簿賛成員三十四名、 正員、東京附近百十四名・地方百十四名(海外十三名)・郷里百二十三名・不明者二十七 名 △編集後記 会の振興策に就ては、幾度か論議されましたが、先輩各位の尽力に依って段々活気を 呈してきました。この事は各頁に現はれますが、殊に最近の例会などは素晴らしいもの でした。全く欣ばしいことです。 |