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然るに東京地方裁判所、及東京控訴院に於て曲庇裁判、汝に利せしめたるは、
明治政府は、汝の恐るゝ所、斟酌する所ありて曲げて、
汝に勝を得せしめたる者の如く旧領に吹聴し、
虚偽を以て自己虚妄の威勢を掲げて、官庁の体面を害するにも拘はらず、
旧領の人民は、汝等に服従する者と、予は信ぜず。
汝、年来の悪風俗を旧領に置土産に遺して、獣層喰む。
嫉妬熱、今日に至ると雖も改心の体を現じ無く、青森県秋田県に合併、人民の動作、人道に遠く、
賊に対する復仇の念を抱き、相争ふ所の状況了承して、慨嘆を極む。
今日更に一の産業も開けず。人心相和せず。収支相償う能はざる。
田畑より一般に莫大の所得利益を得るは、御一新の保護に倚り得る道理も知らず。
予、之を怨むは、敢て土人を憎む者に非ずして、汝兇賊強盗の挙動を憎む所以にありて、
止を得ざる所以也。
生地に於る予五等親族なる者、胸算するに祖父母以来血族、在世生存の親族男女、
概して三百有余人、之れあり。
殊に予は、長者なり。然りと雖も汝の為めに、予の名誉抹殺せられ、
名誉復活するにあらざれば、生地に至り、調和せしめ、御一新の御趣意、
各自貫徹せしむるの道無きに苦しむ。
惟ふに、逆賊云ふ迄も無し、常に人を殺して、欲を得んと殺気を有し、
既に江刺県花輪支庁長を暗殺の如き、誰が業なるや。
汝自ら心中に問て知るに足るべし。
恩典土地返上以後、汝の隠悪は行ふを得ると否とは如何。王命に反抗し、
中古、皇孫を殺害したる例、東国武士に限るを知る。其悪習を後世に遺伝して、
王政復古、皇土聖世に在て、文明の域に達する能はず。 五等親族の別無く、常に土地人相以て相争へ、人の富を害し、人の事業に妨害を加へ、 人の慶福を妬み、人の貧窮災難及び人の逝を歎ふ一種意外の悪慣風俗、 今日に現存し、国民常務を知らず。 信濃守利済、南部継続以来、明治元年に至る四十有余年、人命財産の保護無く、 但だ保護する者、人民所有の馬匹而己。此馬匹を人間より重く保護したるは、 則人民所有弐歳駒を五拾両百両の価値を問はず。 揮て馬代金壱両と相定め買上げたる故也。 依之、人間の子は、馬に対する能はずして、家畜猫子も人の産児も同様資格を施行ありしを、 維新王政の保護に人体を有する者、国民資格の冥護得たるは、 則人間一生の慶福は、勿論子孫に至る迄、是に冠たる尊き者あるを知らず。 既に現に既往封建の悪世途に在ては、大日本国の人員三千万人に上る能はず。 一日千人逝て千人生る者と、死生平均の説不可なるを、予、論じ、 予は生地一郡内に子捨場を設け、佐藤屋庄六一族之人別に加籍して撫育せんと欲したるも、 汝の妨害に因て犠牲に供し、今更敢て述るの要無しと雖も、 予は経験事実比較するに、予は兄弟拾三人、父母に代る男女弐人を除く拾壱人の過剰あり。 又父の兄弟八人、母の兄弟八人、各其父母に代る男弐人宛を除き、六人宛の有余あり。 其当時、上等人士、此の如き者多しと雖も、中等以下の者に於て甚だ僅少也。 其原因を云ふ、中等以下の士民、父母困窮にて、三子撫育する能はず。父母は一子を遺し、 又は二子を遺して公然産児を殺害為し、則人命財産の保護無き所以也。 今日聖世を拝視するに、現世将来人間の慶福、至仁天皇陛下、大権を以て法制を布き賜ふ。 以来元三千万人の人口、二十年にして既に人口四千万人に増殖し、則壱千万人の人間は、 至仁天皇陛下の御袖の下たに生育成長の人間なる事実、確信する者也。 此割合を以て視れば、百年の後は我大日本帝国の人口壱億六千七百三拾七万弐千弐百七拾四人と成る。 人口男女百人に付、逝者引去て一年壱人六六出生者増殖する割合也。 従て起業財産の増殖、人間に準依する也。 汝は封建浮世、栄華の夢を愛慕し、我日本至仁天皇陛下詔勅に飽迄違背して、 汝、既往顧みるを知らず。 且汝、封建の浮世に在ては、封土に淫蕩座食して、恰も毛虫の桑を害する如き有様を呈し、 為めに西洋各国の侮りを招きたるに拘はらず、我大日本帝国、至仁大聖文武皇帝は、 廟議をして封建を廃止せられ、大権を以て大制を布かせられ候。 以来茲に二十有余年、我帝国の光栄を中外に宣揚し、庇蔭国民万世の名誉也。 汝の至酷に懲しめられたる予は、公衆に万倍し、天光を仰で、朝に夕に敬首感拝し、 今日より百年の後、我日本帝国は、世界最上の大富大強国なるを、予の確信する所也。 現に我大日本皇土の貴重強富なる証は、草木の発生、家畜山海、動物繁殖、其猛烈なる。 毛皮の光沢、日月反写して強勢を現じ、世界無二の産たり。 之に加ふるに人間の出生は一層諸外国に勝れて、多きを加ふる、則是也。 今より未来、人口数拾億人に昇ると雖も、国民は大聖至仁天皇陛下御袖の下に生育したる事実を、 予は将来の人に知らしめんと望む者也。 汝等、我皇帝に対し、毫も偉功なき者に付、従来の野心を脱し、 単に厚恩に沐浴し、子孫に遵奉せしめ、以て国民に平和を求め、常に誼を厚くするに努力し、 親密を加ふるを、予は汝に望む所以なり。 |