「鹿角」
 
△九 奥羽アルプスの奥秘境八幡平
 一、緒言 二、汽車から見た八幡平 三、谷内から坂比平へ 四、坂比平からフケの湯へ  五、八幡平登り(附長沼公園) 六、ケから又一へ 七、焼山火山
 
<緒言>
 陸地測量部の分割地図に、全面山許りから出来て居る八幡平の分図がある、それに大葛、 森吉山、田澤、雫石、田山等の各分図を連結して見ると、誰れでも雄大な大公園を見る やうな心地がするであらう、神秘的な田澤湖を包む仙北郡の北部から、雄大な森吉山に 渡り、更に焼山の火口壁を蹴って、八幡平の大高原に分け入り東南に下ると、所謂 南部片富士の称ある岩手山に渡り着くのである、我鹿角郡を中心として巌手、秋田の二県 五郡に跨る奥羽アルプスの連山がこれである、若し夫れ十和田を国立公園とするならば、 従来全く知られないで居た八幡平をも国立公園とするやう宣伝計画する必要がある、 土地の人は云ふ、八幡平の高原は東西十二里、南北七里あると、実測不明であるが、 何しろ奥羽アルプスの盟主として中央に番(足偏+番)屈し、群雄を睥睨して居ること丈は事実だ。

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