12 ばかムゴ(田の草取り)
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、昔あったのです。
 ある所に正直過ぎるくらい正直な男が居ました。大変な働き者であったために、ムゴ
(婿)に貰われてきました。
 
 あるとき姑シュウトさんに、
「田の草取りをしてこい」
と、言い付けられました。
「田の草取りとは、そうすれば、どうして取るのですか」
と、ばかムゴが訊きました。
「田を、かき回して取るのです」
と、姑さんは教えました。ばかムゴは早速、田の中へ入って、田の草を取りました。
『かき回さなければ……』
と思って、ばかムゴはせっせとかき回しました。そこへ姑さんが来て、驚いてしまって、
「あんまりかき回し過ぎて、稲ッコの白根ッコが出ているのではないか、これだと稲ッ
コが死んでしまうよ」
と、怒られて(しかられて)しまいました。
 
 ばかムゴは、それから毎日心配していました。そうしたところが、秋になってみたら、
田の稲ッコは、とってもよく実って、良い米ッコを一杯取りました。どっとはらぇ。
(大欠・松山)
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