151 具之助の親孝行
参考:「八幡平の民俗年中行事(湯瀬)」
昔あるところに老夫婦がおりました。
夫婦には子供がないので、氏神様に三、七、二十一日、一心にお願い致しましたら、
二十一日目に手首が赤くはれあがり、そこから小さな浜栗具が出たので、
「ああ、これが神様の申し子だ」
と喜び、名も「具之助」と名付け、可愛がり育てたところ、話も出来るようになり、だ
んだん大きくなり、みざるのようになりました。
ある時、
「私も二十一年も育てられ、父さん母さんに嫁を貰ってきて、二人で親孝行しなければ、
申し訳ない」
と言いましたので、夫婦は驚いて、
「人間であればいざしらず、お前にくれる人はないだろう」
と言いました。
でも具之助は、
「必ず貰ってくる」
と言うので、
「それなら、行ってきなさい」
と言いました。
具之助は、ガバラガバラと歩き出し、ある所の立派なもんがまえの中に入り込み、
「御免下さい、御免下さい」
と大声で呼びましたら、女中が出てきてびっくり、驚いて中へ入り、皆様に報告致しま
した。皆驚いているのを見て、
「私は田舎から参りました具之助と言う者ですが、こちらの娘さんを嫁にいただきたい
と思って参りましたから、どうぞご承諾して下さい」
と言いました。
ところが、
「お前のようなかたわ者には、とても娘はやれん」
とどなりました。だが、具之助も負けていません。
「それでは、やむをえん」
と大きな口をあき、ガバガバと水をはき出し、今にも家が流れそうになったので、
「助けてくれ、娘をやる」
と約束したので、それではと、水を飲みほし、元のとおりにしたので、早速嫁支度にな
り、タンス、長持で花嫁を連れて帰りましたので、二度びっくり!
早速支度もでき、その時、具之助は花嫁に
「高砂や……と始めたら、タスキをかけ、手槌で私の具を割ってくれ」
と頼みました。
式が始まったので、花嫁が教えられたとおり、かけ声とともにたたきつけ、ザクリと
割れたら、中から立派な大男が出たので、二度の大喜び!
老夫婦は、二人に親孝行してもらい、末永く栄えたとさ。めでたし めでたし
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