6101お化け石・大湯館跡(大湯)
参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角の伝説」
大湯の和町ワマチの城に殿様が居た頃、江戸時代の話です。
和町の城の辺りは、殿様の居る館とか、侍達の居る屋敷がいっぱいありました。
ある年の春先きの真暗な晩バンゲに、立派な栗毛クリゲの馬に乗った侍が、大きな蹄ヒヅメ
の音を発タてながら、お城の殿様の館の周りを、二回も三回も廻りました。
殿様の家来達は大騒ぎして、殿様の館に集まったが、栗毛の馬に乗った侍があまり強
そうなので、誰もどうにも出来なくて、怖さにガタガタと震えていました。
そこへ、外が騒がしいと思った殿様が出て来て、
「何して騒いでいるのだ」
と聞きました。
そしたら、そこへまた栗毛の馬に乗った立派な侍が大きな馬の足音を発てながら近付
いて来ました。
そこで、
「俺の城に馬に乗って近寄って来るとは無礼千万な奴だ」
と言って殿様は怒ってしまって、大きな刀を抜いて、その栗毛の馬を斬ってしまいまし
た。
そうしたら、その馬に乗った侍と云うのは、狐崎キツネザキに居る金毛九尾キンモウキュウビ(古
い狐)が化けて出て来て、殿様のことを驚かせてやろうと思って走ったのでした。
その時、殿様に斬られた狐が化けた馬は、大湯の和町へ行く処の道端に今でも横に真
二つに割れた石になってあります。
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