0501白沢サクザワ神社の伝説(大久保・杉山)
 
    参考:八幡平地区老人クラブ連合会老人大学学習記録集「八幡平伝承ひろい」
 
 白沢神社は昔、三ケ田から大久保へ行く道端の高原様(阿部雄治氏所有)の畑の東北
隅の所に、小さな御堂を建ててあった。それが白沢神社の本元である。御神体は木のお
札で、文字は判別出来ません。
 鍛冶屋造りの小さな龍ヘビの納められてあったその側に、谷地があり、真ん中の深い所
は底が見えないほど青々としていた田でした。
 御堂の下に切石を並べた石橋があって、その橋を「へと橋」と云いました。へと橋の
御堂は作沢(白沢)様だから、谷地の田に行くときは、よく拝んだと云います。
 その作沢様のある谷地一帯は昔、杉の大木の杉林で、小豆沢大日堂焼失の折、谷地の
杉林を伐って建てたと云います。
 
 杉林の無くなった後、別当の大久保の高田長右エ門様の主人に、ある晩夜中に枕元に
神様が立たれ、「杉林を伐られたので、人に姿(御神体)を見られるようになったから、
何日の何刻に、馬に乗って上堰を上って行くから、出て来るように」と仰有って消えた
と云います。
 主人は誰に言うことなくその日を待ち、夜中に密かに起き出て待っていたら、下の方
から鈴の音がして、白馬に乗った綺麗な神様が見られて、馬を止めて「良く来てくれた。
今、作沢沼へ行くところだ」と仰有って行かれたと云います。
 それ故、作沢様と呼ばれ、女神であったとされます。

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