04 仙北への道
参考:鹿角市発行「鹿角市史」など
仙北道は、鹿角から八幡平西側の山裾を越え、玉川温泉付近を経て秋田(仙北)方面
へ通ずる道である。
鹿角とその南に位置する現仙北郡、即ち古代山本郡との間にも、古くから交通路が開
けていたものとみられる。
近世に入って、御境番所としての熊沢番所が置かれたのは、仙北へ通じる山道の存在
を証していることに他ならない。
この山道 − 仙北道は、熊沢川の峡谷に沿って遡り、大場谷地オオバヤチに出て鹿湯シカユ(
玉川温泉)、五十曲を経て、玉川上流の谷に繋がる道筋であったと考えられる。
鹿角の伝説の中には、仙北との交流に対する強い願望を潜ませているものがある。そ
の一つが夜明島ヨアケシマ伝説で、一夜のうちに湯瀬峡谷に天狗橋を架け終えた天狗が、今度
は長牛川若狭淵ワカサブチに橋を架け「仙北海道(街道のこと)にいたしべしと釣木ツリキ引懸
候時、夜明け候故ニ付此川を夜明と云」ったと云う(『鹿角由来記』)。橋を架け仙北
街道にしようとして、未完成に終わったと云う説話は、仙北への道がすこぶる難路であ
ったことを暗示している。なお夜明島川の源流は、大場谷地と背中合わせである。
もう一つの子分け長者伝説では、長者の本妻が子供や召使いを連れて、実家のある仙
北へ帰ろうとして、途中危難に遭う筋が語られている。これは、鹿角と仙北の間に、あ
る時期、通婚が行われていた歴史の投影とも考えられる。
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