81 登録有形文化財とは
平成8年10月1日に施行された文化財保護法の一部を改正する法律によって、保存及び
活用についての措置が特に必要とされる文化建造物を、文部科学大臣が文化財登録原簿
に登録する文化財登録制度が導入された。この登録制度は、近年国土開発、都市計画の
進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受けるまもなく消滅の危機にさらされて
いる多種多様のかつ大量の近代の建造物を中心とする文化財建造物を中心とする文化財
建造物を後世にはば広く継承していくため、届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩
やかな保護措置を講じる制度であり、従来の指定制度(重要なものを厳選し許可制等の
強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完するものである。
△建造物に対する文化財の位置付け
建造物に対する文化財には、@有形文化財と、A伝統的建造物群がある。
@有形文化財には、重要文化財(国宝)と登録有形文化財がある。
A伝統的建造物群には、伝統的建造物群保存地区(重要伝統的建造物群保存地区)が
ある。
△文化財登録制度の支援措置
@改修のための設計料50%を国が補助
A法人が行う改修の資金を低利で融資
B文化財登録を表示するプレートを交付
C家屋の固定資産税の税額を軽減
△登録有形文化財への登録基準
▽築後50年を経過している建造物で、次の要件のいずれかを満たしているもの
@国土の歴史的景観に寄与しているもの
・特別な名称(愛称)などで、広く親しまれている場合(例 ○○○の洋館、○
○○の赤レンガなど)
・その土地を知るのに役立つ場合(例 地名の由来となった建造物………○○○
橋など)
・絵画などの芸術作品に登場する場合(例 北斎などの浮世絵に描かれた建造物、
歌謡曲に登場する橋など)
A造形の規範となっているもの
・デザインが優れている場合(例 ゴシック様式の教会、古典様式の銀行など)
・著名な設計者や施工者が関わった場合
・後に数多く造られるものの初期の作品(例 昭和初期のモダニズム建築物など)
・時代や建造物の種類の特徴を示す場合(例 茅葺き屋根の農家、下見板貼りの洋館
など)
B再現することが容易でないもの
・優れた技術や技能が用いられている場合(例 なまこ壁の住宅、優れた欄間彫刻を
持つ書院など)
・(現在では)珍くなって技術や技能が用いられている場合(例 黒漆喰塗の町屋な
ど)
・珍しい形やデザインで、他に同じような例が少ない場合
△ゆるやかに守る
登録物件は、外覿を大きく変えなければ内部を改装し、例えばホテルやレストラン、
資料館などとして活用することが出来る。
したがって、文化財の自由な活用を前提とし、ゆるやかに守ってゆくと云う制度であ
る。
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