[詳細探訪]
 
                      参考:小学館発行「万有百科大事典」
 
〈伊賀焼〉
 伊賀国(三重県阿山郡)の陶器で、主に槙山と丸柱の窯で焼かれた。桃山時代以前の
作は、隣接の信楽シガラキ焼(滋賀県)と作風がよく似ている。伊賀焼の特色が著しくなっ
たのは、茶の湯の盛んになった桃山時代からで、織部好みの形の奇抜な手強い作の花入
や水指が焼かれたが、世にこれを古伊賀と呼んでいる。古伊賀の中でも特に賞美される
のは丸柱窯の作で、歪形された作行きの勁ツヨさは箆目ヘラメによって更に強調され、焼締め
の素焼の肌は樺色カバイロに照り映え、素地からは淡青緑のビードロ釉が吹き出し、黝クロず
んだいわゆる焦げものも加わり、独特の強烈な美しさを呈している。古伊賀を焼いた丸
柱の御用窯(藤堂家)は後に廃されたが、文化・文政(1804〜30)頃には弥助・定八・久兵
衛(久光山)などの陶工が現れ、古伊賀写しと並んで京焼風の作も造られた。明治以後
は土瓶ドビン・徳利などが主で、現在は土鍋が量産されている。
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