67 仁・礼を詠める和歌
参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
他をめぐみ我をわすれて物ごとに 慈悲ある人を仁としるべし(子弟訓)
[義]
きえはつる露の命の終りには 物いはぬ身となりにける哉(結城戦場物語)
消ぬ共其名や世々にしらま弓 引て返らぬ道芝の露
残る名にかへなば何か惜むべき 風の木葉の軽き命を(以上、陰徳太平記 三)
へつらはずおごることなくあらそはず 欲をはなれて義理をあんぜよ(子弟訓)
[礼イヤ]
君をあふぎ臣をおもひてかりそめも たかきいやしき礼儀みだすな(子弟訓)
[智]
みまきいりひこはや おのがををしきせむと ぬすまくしらに 比売ヒメなそいすも
(日本書紀 一神代)
あふさかもはてはゆきゝのせきもゐず たづねてとひこきなばかへさじ
(栄花物語 一月宴)
深山木の其梢共みえざりし 桜は花にあらはれにけり(源平盛衰記 四 頼政)
何事も其しなじなを知る人を ひろくたづねて他をなそしりそ(子弟訓)
△賢
古への賢人カシコキヒトの遊びけむ 吉野ヨシヌの川原カハラ見れど飽かぬかも(萬葉集 九雑歌)
酒の名を聖ヒジリとおふせし古への 大き聖の言コトの宜しさ(萬葉集 三雑歌)
玉だすき 畝火ウネビの山の 橿原の 日知ヒジりの御世ゆ(下略)
(萬葉集 一雑歌 柿本人麻呂)
△愚
世間ヨノナカの 愚人シレタルヒトの 吾妹児に 告ノりて語らく(下略)(萬葉集 九雑歌)
鹿をさして馬と云人有ければ かもをもおしとおもふ也けり
(物類称呼 五言語 拾遺)
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