31c 枕 詞
 
 〈つ〉
 
 栂ツガの木の     つぎつぎに
 月草の       うつる・消ケぬ・仮
 つぎねふ(や)   山城
 槻弓ツクユミの     臥コやる
 つつじ花      にほふ・にほえ
 津の国の      難波ナニハ・長柄ナガラ・御津ミツ
 つのさはふ     いは
 妻隠ゴモる      家ヤ・室ムロ・小佐保ヲサホ
 露霜の       置く・消ケ・過ぐ・秋
 剣太刀ツルギタチ    身に添ふ・名・己ナ・磨トぐ・斎イハふ
 
 〈て〉
 
 照る月の      飽かざる
 
 〈と〉
 
 栂トガの木の      つぎつぎ
 解き衣ギヌの     乱る
 時つ風       吹飯フケヒ
 鳥網トナミ張る     坂手
 飛ぶ鳥の      あすか
 遠つ神       わが大君
 遠つ国       黄泉ヨミ
 遠つ人       待つ・松・雁カリ
 燈トモし火の     明石アカシ
 鳥が鳴く      東アヅマ
 
 〈な〉
 
 泣く児コなす     音ネのみし泣かゆ・慕ひ・言コトだに問はず・靱ユキとりさぐり
 鳴く鶴タヅの     ね・間マ無く時なし
 鳴く鳥の      声なつかし・間マなく時なし・泣きかへらふ・継ぐ
 投ぐる矢サの     遠さかる
 夏草の       深し・しげし・萎シナゆ・野・ね・は・かり
 夏葛ナツクズの     絶えぬ
 夏衣        うすし・ひとへ・かとり
 夏麻ナツソ引く     うな・う・い
 撫子ナデシコが     花
 名告藻ナノリソの    な・なのる
 繩海苔ナハノリの    引かば絶ゆ
 なまよみの     甲斐カヒ
 波の穂の      いたぶらし
 弱竹ナヨタケの     とをよる
 鳴る神の      音
 
 〈に〉
 
 庭潦ニハタヅミ     流る
 庭つ鳥       鶏カケ
 庭に立つ      麻
 鳰鳥ニホドリの     かづく・葛飾カヅシカ・なづさふ・息長オキナガ・並びゐ
 
 〈ぬ〉
 
 萎草ヌエクサの     女メ
 ヌエ子鳥コトリ     うら泣く
 ヌエ鳥ドリの     片恋い・のどよふ・うらなく
 ぬばたまの     黒・夜・闇ヤミ・今宵コヨヒ・月・夢・夕・駒コマ・妹イモ
 
 〈ね・の〉
 
 根蓴ネヌナハの     長く・くる・寝ぬ
 野つ鳥       きぎし
 
 〈は〉
 
 梯立ハシタテの     くら・くま
 旗薄ハタススキ      穂・うら野
 花筺ハナガタミ     め
 花細ハナグハし     葦アシ・桜
 はねずいろの    移ろひやすし
 柞葉ハハソバの     母
 這ハふ葛クズの    絶えず・いや遠長く・行くへもなくや・後もあはむ・下よ
 這ハふ蔦ツタの     別る・おのがむきむき
 早川の       塞セく・行く
 隼人ハヤヒトの     薩摩サツマ
 春霞ハルガスミ     春日・井上ヰノヘ・立田タツタ・立ち・おぼ・よそ
 春風の       音
 春草の       珍し
 春草を       馬咋山ウマクヒヤマ
 春鳥の       さまよふ
 春の日の      長し
 春花の       珍し・にほひさかゆ・盛り・たふとし・移ろふ
 春日ハルヒの      春日カスガ
 春日ハルヒを      春日カスガ
 
 〈ひ〉
 
 光る神       なりはた
 引け鳥の      引け
 久方の       天・雨・空・月・月夜ツクヨ・都
 ひな曇り      碓氷ウスヒ
 日の暮グれに    碓氷ウスヒ
 日の本の      やまと
 ひも鏡       能登香ノトカ
 ひもの緒の     入る・いつがる
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