13d 手本歌/現代
吉田松陰
親思ふ心にまさる親心今日のおとづれ何と聞くらん
身はたとへ武蔵ムサシの野辺に朽ちぬともとどめおかまし大和魂ヤマトダマシヒ
良寛
飯イヒ乞うとわが来しかども春の野にすみれつみつつ時を経にけり
道の辺ベにすみれつみつつ鉢の子を忘れてぞ来しその鉢の子を
蓮月尼
宿かさぬ人のつらさをなさけにて朧月夜オボロヅキヨの花の下臥し
はらはらと落つる木の葉にまじりきて栗の実ひとり土に声あり
若山喜志子
産みの苦しみ育てのなげきありとある女のなげき知りそめにけり
はこべ草踏みて通れば青臭しかなしき春のにほひなるかな
さすらひの首途カドデならむか亡き人の位牌を提げていでゆくわれは
若山牧水
幾山河越えさりゆかば寂しさの終ハてなむ国ぞ今日ケフも旅ゆく
白鳥はかなしからずや空の青海の青にも染まずただよふ
海底に眼のなき魚の棲むといふ眼のなき魚の恋しかりけり
けふもまたこころの鉦カネをうち鳴らしうち鳴らしつつあくがれて行く
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり
かたはらに秋草の花語るらく滅びしものはなつかしきかな
うすべにに葉はいちはやく萌モえいでて咲かむとすなり山櫻花ヤマザクラバナ
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