茶腹(ちゃばら)も一時(いっとき)。 解釈:お茶を飲んだだけでも、しばらくは空腹を忘れることができる。僅か な物でも一時凌(しの)ぎになるというたとえ。 類義:粥腹(かゆばら)も一時。湯腹も一時、松の木柱も三年。 茶屋の餅も強(し)い方。 解釈:給仕の仕方、物の勧め方が大切というたとえ。金を出して食べる物で も愛想よく勧められると、つい余分に食べてしまうものだ。 類義:茶屋の物も強いねば食われぬ。宿屋の飯も強いねば食われぬ。 茶碗を投げたら、綿で抱えよ。 解釈:相手が強く出たときは、やんわりと受け止めるがよい。柔らかい応対 に相手の怒りも静まるであろう。 類義:悪に敵することなかれ。柔(じゅう)よく剛(ごう)を制す。茶碗を ば綿で受くる。 反義:売り言葉に買い言葉。 中原(ちゅうげん)に鹿を逐う(おう)。 解釈:お互いに競争して、一つの目的を得ようとすること。政権の争いや選 挙戦をいう。「鹿」は政権、また天子の位のこと。「中原」は中国の黄河(こ うが)中流を挟んだ南北の地域で、中国文化の発生の地。中原の覇者(はしゃ) は広大な中国の天下に君臨することとなり、中原は政権争奪の舞台にもなる。 類義:逐鹿(ちくろく)。 忠言(ちゅうげん)、耳に逆らう。 解釈:忠告の言葉は、自分の欠点、弱点、過ちをずばり言ってくれるので、 耳に痛く、素直に聞くことが難しいということ。 活用⇒忠告は耳に痛い。しかし、聞きなさい。Advice is painful in the ear. However, hear it. 類義:諫言(かんげん)、耳に逆らう。良薬口に苦し。 仲裁は時の氏神。 解釈:喧嘩や口論のとき、仲裁を買って出てくれる人は、その時その場にと っては氏神様と同じように有り難い存在である。その人の指図に従ってやめる のがよいということ。 活用⇒声掛けは鎮守様。[守]争いがあったときは、祖先の神に仲裁をお願い しよう。When there is fighting, trying to ask the god to intercede on their ancestors. Let's ask ancestor's god for arbitration when there is a fight. 類義:挨拶は時の氏神。地獄で仏。 忠臣は二君(にくん)に事(つか)えず。 解釈:誠実に仕える家来は、一旦心を定めて主君としたら、どんな事があっ ても他の人に仕えない。一人の主君に誠実を尽くすのが忠臣というものである。 類義:忠なれば則ち(すなわち)二心無し。 柱石(ちゅうせき)。 解釈:家屋の柱と土台石のように頼りになる大切な人。重要人物。 寵愛(ちょうあい)、昂(こう)じて尼(あま)になす。 解釈:娘可愛さの余り、機会を失って嫁にやりそびれ、遂には尼にしてしま う親の盲愛をいう。あまり可愛がると当人はかえって悲しむこととなる。 類義:贔屓(ひいき)の引き倒し。 朝三暮四(ちょうさんぼし)。 解釈:口先で言いくるめて上手く騙すこと。また、目先の違いにこだわって、 結果が同じことに気付かないこと。昔、中国宋(そう)の狙公(そこう)が猿 の餌を節約するために、「団栗(どんぐり)の実を朝三つ、暮れに四つ与えよ う」と言ったら、猿共は大いに怒ったので、「では朝四つ、暮れ三つでどうだ」 と言ったら、喜んで納得したという寓話(ぐうわ)から。 鳥鵲(ちょうじゃく)の知。 解釈:鵲(かささぎ)の知恵。鵲は風の強い年には巣を低い枝に作る習性が あるといわれる。そのために巣を壊されたり、雛や卵を盗られたりする害に気 付かない。遠い将来の事に気を取られ、近くに迫っている災害に気付かないた とえ。 長者三代。 解釈:金持は三代だけで、後は続かないということ。一代目は苦労して財産 を築き、二代目は親の苦労を知っているので、その財産を守るが、三代目は贅 沢に慣れて財産を潰すことが多い。 類義:売家と唐様(からよう)が書く三代目。長者に二代なし。名家三代続 かず。 長者、富に飽かず。 解釈:金持は欲張りだから金が貯まる。貯まれば、また欲が出てきりがない こと。 長者に子無し。 解釈:「貧乏人の子沢山」であるのに、金持には跡取りの子も授からない。 世の中は、思い通りにはいかないものである。 長者に二代なし。 解釈:金持の子は、ちやほやと育てられて碌な人間にならないので、大抵は 次の代くらいでつぶれてしまう。 類義:長者三代。長者末代続かず。名家三代続かず。 長者の万灯(まんとう)より、貧者の一灯。 解釈:金持が見栄で捧げる灯明よりも、貧乏人が苦しい中から真心を籠めて 捧げる、たった一つの灯明の方が、ずっと貴い。物の多少よりも誠意の有る無 しが大切であるたとえ。 類義:長者の万貫、貧者の一文。貧者の一灯。 長者の娘も乞うて見よ。 解釈:何事もやってみなければ分からないということ。長者の娘でも遠慮せ ずに求婚してみるがよい。案外成功するかもしれない。 活用⇒君は男だ。挑戦してみろ。You are a man. Challenge. 類義:当たって砕けろ。 長所は短所。 解釈:長所に頼り過ぎると、かえって失敗することがある。長所は欠点にな ることもある。 活用⇒長所は、短所になることもある。The merit might become a weak point. 提灯で餅搗く。 解釈:思うようにならないことのたとえ。また、取り留めのないこと。 提灯に釣鐘。 解釈:提灯は軽くて小さく、釣鐘は大きくて重いので、比較にならない。釣 り合わない事や、比較にならない物のたとえ。 類義:月と鼈(すっぽん)。瓢箪(ひょうたん)に釣鐘。 提灯ほどの火が降る。 解釈:凄(すさ)まじい貧乏暮らしのたとえ。 提灯持ち。 解釈:人の手先に使われたり、頼まれもしないのに人の宣伝に努めて、他人 のご機嫌を取ろうとする軽薄な人のこと。 提灯持ち、足下暗し。 解釈:提灯持ちは、後に続く人の足下を照らしながら歩くので、自分の足下 は暗くて歩きにくい。身近な事はかえって分かりにくいというたとえ。 類義:灯台下暗し。 提灯持ち、川へ嵌る(はまる)。 解釈:提灯持ちは自分の足下が暗いので、自分が川へ落ちたりする。お先棒 担ぎが失敗することのたとえ。 類義:提灯持ちが堀へ落ちる。 提灯持ちは先に立て。 解釈:提灯を持った者が先頭を歩けば、他の者は歩きやすくて助かる。指導 者は常に先頭に立って自ら範を示すべきであるというたとえ。 活用⇒指導者は常に先頭を歩き、模範を示しなさい。The leader must walk always at the head and set the pattern. 町人の刀好み。 解釈:身分不相応な事や不似合いな事をするたとえ。 活用⇒彼の態度は、地球人として不相応で、不似合いだ。His attitude has not been suited as an earthling. And, it is unsightly. 類義:町人の武士咄(ぶしばなし)。 長範(ちょうはん)が当て飲み。 解釈:人の財布を当てにして失敗すること。大泥棒の熊坂長範が金売吉次 (かねうりきちじ)を襲おうと考え、もう奪った気になって大酒盛りした夜に、 牛若丸(うしわかまる)に退治されたという話から。 類義:穴の狢(むじな)を値段する。捕らぬ狸(たぬき)の皮算用。 頂門(ちょうもん)の一針(いっしん)。 解釈:頭の天辺(てっぺん)に針を打つ鍼医(はりい)の治療法からきた言 葉で、急所を押さえた厳しい戒め。 長夜(ちょうや)の飲(いん)。 解釈:夜通し酒を飲み、夜が明けても戸を閉めたまま灯火を点けて酒宴を続け ること。中国殷(いん)の紂王(ちゅうおう)は長夜の飲を続けて楽しみに耽 (ふけ)り、遂には月日を忘れたという故事による。 長幼之序(ちょうようのじょ)。Between the elder and the juvenile, there is order. 解釈:長者と年少者の社会的な地位における順序。社会的、道徳的な秩序。 類義:長幼序あり。 朝令暮改(ちょうれいぼかい)。 解釈:朝出した命令を夕方もう改めること。法律や命令が次々に変わって定 まらないこと。 類義:朝改暮令。朝種暮穫。天下法度(はっと)、三日法度。 参考:Chops and changes. 直情径行(ちょくじょうけいこう)。 解釈:他人の思惑や周囲の事情などを顧みず、自分の感情に従って単純に行 動をすること。 直木(ちょくぼく)、先ず伐らる。 解釈:真っ直ぐな木は使いやすいので、真っ先に伐られてしまう。才能があ るために、かえって災難を招くことのたとえ。 類義:甘井(かんせい)まず竭く(つく)。 ちょっと来いに油断すな。 解釈:「一寸来い」と言われると気軽に応じるものだが、一寸どころかの用 件でないことが多い。 ちょっと嘗めたが身の詰まり。 解釈:ほんの好奇心でやってみた事がどうにもならない窮地に追い込まれる 結果になるということ。 塵も積もれば山となる。 解釈:僅かな物でも、積り積もれば大きな物になる。 類義:雨垂れ石をも穿つ(うがつ)。蟻の穴より堤が崩れる。小さな流れも 大河となる。土積もりて山となる。点滴石をも穿つ。人跡(ひとあと)繁けれ ば山も窪む。 参考:The many a little makes a mickle. 塵も箔屋(はくや)の塵。 解釈:箔押し屋の塵には金箔や銀箔が混じっているので、塵の中では上等で ある。名は同じでもよい悪いの差があるというたとえ。 塵を結んでも志。 解釈:塵を結ぶとは、少しの贈り物をして気持を表すこと。少しの贈り物で も気は心だから受け取って欲しいという挨拶。 類義:気は心。志は木の葉に包む。 治(ち)を為すは、多言(たげん)に在らず。 解釈:政治はいろいろ喋り立てることではない。実際に善政を行うことが大 事である。 地を掃う(はらう)。 解釈:箒で地面を掃いたように、綺麗さっぱりと物が無くなること。跡形も なくなること。 血を以て血を洗う。 類義:血で血を洗う。 狆(ちん)が嚔(くしゃみ)をしたよう。 解釈:寸詰まりで、顔の道具立てが真ん中にくしゃくしゃと集まったような 顔立ちの形容。ちんくしゃ。狆は犬の一品種。 類義:狆が茶を吹いたよう。狆の顔へ縫い揚げ。猿の面(つら)へ縫い揚げ。 珍魚落雁閉月羞花(ちんぎょらくがんへいげつしゅうか)。 解釈:美人を最大級に形容した言葉。美人を見ると、魚は深い淵に沈んで姿 を隠し、雁は列を乱して落ち、月は雲の間に隠れ、花は恥ずかしがって萎(し ぼ)むという意。 沈黙は金、雄弁は銀。 解釈:話すことも大切だが、節度を弁えてお喋りを慎むことはもっと大切で ある。 活用⇒多弁を慎む。It refrains from the chat. 類義:雄弁は銀、沈黙は金。 |