其の後有名な文豪レッシング、独乙文学の改革者として現われたが、彼は
「ファウスト劇」にも筆を染め、考案を凝らした、レッシングは天性劇作の
特能を有して居り其の人物も亦偉大であったから、彼の「ファウスト劇」にして若し
完成したならば、我がゲーテが「ファウスト」に依て得た名声は、恐らくは彼に
帰せざるを得なかったであろう、併し惜むべし彼は僅かに其の断編を残して逝いた、
で彼はフランクフュルトの物語より立案して、敢てマロウェーの劇詩を参考としなかった
ことは著しい事実であった。 |
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