GLN町井正路訳「ファウスト」
「ファウスト」解題
(六)一五八八年に死んだテクレンブルグの医学博士ウィール氏は、其の著書の 中に、ファウストの十六世紀初葉に於ける勢力を述べ、且つ次の逸話を附した。
ファウスト罪を得て、バーデンブルグに禁獄された折、剃刀を用いないで髯を剃る 法を教えて、監獄の牧師から葡萄酒を与えられた、が其の法というのは劇薬砒石を 塗るのであったから、其の牧師は漸次面皮を失い遂に肉までも失ったとのことだ。
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