(二)第十世紀の中葉に当って、ガンデルシャイムの尼寺にホロス、ウイサ
と呼ばるゝ尼があって、僧侶セオフィラスの物語を採って戯曲体の一詩篇を作った、
その梗概は斯様である。 紀元五三八年、シシリアの或寺院で、会計を司れる僧侶に、セオフィラスと云う者が あったが、其の寺の住職が臨終に際して「汝を僧侶に任ずる」と云ったのを彼は 拒絶したので、次の住職の怒に触れ、やがて会計の職を奪われて了った、セオフィラスは 切に復職を望む結果、大に魔術を研究して、悪魔に計った処が、悪魔は容易く承諾しないで 先ず契約書を要求する、僧侶は行掛かり上止む無く之に応じたのであったが、後になって 大に悔悟し、転じて基督の母に帰するに到った、聖母マリア大に僧侶の境遇を憐んで、 自らサタンと僧侶との間を斡旋して、契約履行のことを取消さしめたと云う。 |
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