神様の戸籍調べ 一 大神実命オホカミヅミノミコト この神様は、核サネと、実とそして皮とから出来てゐる。即ち是れ桃実モモなり。 この大神実命は、伊邪那岐大神イザナギノオホカミが、その後伊邪那美大神イザナミノオホカミを、穢 ケガれたる常夜国トコヨノクニにて見給ひて、驚ろき逃げられると、その後から后キサキの大神は ドンドンと手兵シュゼイ黄泉ヨモツ醜女シコメ千五百を率ゐて追撃なされたので、伊邪那岐大神 は、堪コラえかねてドンドンと逃げに逃げて、黄泉平阪ヨモツヒラサカの下まで来られると、丁度 そこに一本の桃の木が、枝もたわゝに、実ってゐたので、その実を一つ採って、黄泉軍 めがけて投げなさると、蜘蛛の子を散らす如くにして退却したので、ホット息をつき給 へし伊邪那岐大神は、桃実モモに向ひ給ひ、 「有難いぞ、厚く礼を申しておくぞ。吾を助けたやうに、是から、日本の民草タミグサを 助けよ」と、御丁寧なる御勅語を賜ひ「大神実命」といふ名を下されたのである。[次へ進む] [バック]